国際人道支援に携わる要員の育成に向けて

日本赤十字社(以下「日赤」)では、世界各地の人道支援ニーズに迅速に応えるために、海外派遣要員育成のための研修を定期的に行っています。特に、模擬演習などを通じて現場の活動への理解を深める「国際救援・開発協力要員研修(International Mobilization and Preparation for Action(以下IMPACT(インパクト) 」研修は、海外で救援活動に携わりたいという思いを持った人々が「派遣要員」になるための登竜門であり、日赤が毎年開催しています。

今年も5月27日から6日間にわたって当研修が開催され、日本各地の赤十字病院や、バングラデシュ、ネパール、パキスタン、マレーシア、アフガニスタンなどの姉妹社から集まった参加者30人が、知見とネットワークを深めました。講師は、主に日赤国際部職員や国際赤十字赤新月社連盟・赤十字国際委員会に長年勤めてきた職員で、実際に紛争地や災害現場で支援活動経験を数多く持っています。そうした職員が、自らの体験から得られた知識や感覚を織り交ぜながら、丁寧に研修を行いました。

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研修では、赤十字の7原則に始まり、赤十字ムーブメントの歴史やその役割、ジェンダーや多様性、安全管理やストレスマネジメントといった、要員として必要不可欠となる基礎知識を座学の研修で学べるとともに、大規模災害や感染症が発生した国で、「どのように支援を実施するか?」を模擬演習を通じて学ぶことができます。例えば、模擬演習ではニーズのアセスメントからプロジェクトの立案、現地姉妹社や国際赤十字との連携など、支援の流れを包括的に学びつつ、自分たちのチームは何を求められ、何ができるかを参加者自らが模索しながら、プロジェクトを運営するロールプレイを行います。

こうしたシュミレーションを通じて具体的な役割や動きを確認することで、チームメンバーとの協力の仕方から、他チームとの情報共有で重要になるポイント、自らの強みや弱みを冷静に判断する想像力や他者への共感力をも鍛錬し、実際に派遣されたときに焦らずに物事に対応できるよう訓練されます。

実際、異なる社会環境や災害現場においてのストレスは多岐にわたり、そうした中でチームという複数の個人が属する主体で有意義な活動をするのは、経験豊かな要員でも時に難しいことがあります。

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他国からの派遣者や、赤十字以外の団体に所属する人々とのやり取り、或いは地元の関係者や政治家、マスコミといった様々な関係者がいる中で、自身の安全を確保しつつ適切な支援を行うために、コミュニケーション能力や、想像力や、基礎的な知識や経験に基づく知恵は派遣要員に求められる重要な要素です。

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以下は参加した人たちからのコメントを抜粋したものです。

"今日のセッションはとても難しかったです。けれど、自分のウィークポイントだけでなく、能力も見つけることができました"
"学びのプロセスは決して終わりません。今回の研修で、赤十字・赤新月社の職員として理解しなければならないことをたくさん学びました"
"(日本人と外国人の)混合グループでの経験は、異文化や多様性を学ぶ上でとても役立ちました。とても有意義な研修でした"
"この研修は今まで私が受けた研修の中で最良のものでした。内容がとてもよく準備されていて、時間管理もとても良かったと思います。講師からの指導もとても明確で理解しやすかったです"
"赤十字ムーブメントで働く人にとっては、研修の内容はとても興味深いものでした。私たちは、私たち自身の組織構造をもっと深く知るべきだし、ムーブメントにおける私たちの役割や文化をもっと理解するべきだと思いました"

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こうした参加者からの声は、ほんの一部でしかありませんが、IMPACT研修が気付きの場となり、実りの多い時間となったことをうかがい知ることができます。「人道支援」を第一課題として掲げる赤十字の一員として、日本国内にとどまらず、世界中で危機に直面している人たちに手を差し伸べられるように、そうした要員を一人でも多く育てられるように、日赤では引き続きIMPACT研修をはじめ、多くの海外派遣要員育成のための研修を行います。今回の研修参加者が、近い将来困難を抱える国に飛び立ち、様々な活躍をされることを期待しています。

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※IMPACT研修のほか、日赤では様々な研修を行っています。興味のある方はぜひ国際部企画課研修係にお問合せください。
(E-mail:kokusai-hr@jrc.or.jp)
また、国際赤十字・赤新月社連盟では、個々人が学べるE-ラーニングプラットフォームを充実させています。こちらにもぜひアクセスしてみてください(プラットフォームを活用するにはアカウントの作成が必要です)。

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