オンライン講演会実施のご報告 「中東・パレスチナ情勢と赤十字支援」

日本赤十字社では、716日、赤十字の中東地域での活動に関するオンライン講演会を開催しました。2015年からレバノンの首都ベイルートに駐在する五十嵐真希・日赤中東地域代表と、中東地域を拠点に移民/難民研究を専門とする錦田愛子・慶応義塾大学准教授の対談形式とし、目まぐるしく変化する中東情勢や新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う保健環境の悪化などをお話頂きました。

オンライン講演会の様子は、以下のYouTubeリンクからご覧頂くことができます。

https://www.youtube.com/watch?v=MJz7d4pExrg

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この画像をクリックしても報告会動画へアクセスできます。

今年5月には、イスラエルとパレスチナ・ガザ地区との間で大規模な軍事衝突が勃発し、停戦が結ばれるまでのおよそ2週間で、パレスチナ側で計285人、イスラエル側で13人が亡くなる事態となりました。

レバノンやヨルダン、パレスチナ/イスラエル現地での研究活動を長く行ってきた錦田先生からは、今回の軍事衝突に発展した紛争の情勢について解説を頂きました。その背景として、1948年以降のパレスチナ難民の境遇や、2006年以降のガザ封鎖による環境悪化という歴史的経緯から丁寧に解説頂き、現在政治的情勢に改善が見られず展望の見えない現地の人びとにとって、国際的な支援活動が今を生き抜く上で欠かせないものであることを強調されました。

2020年に世界中で拡大した新型コロナウイルス感染症は、中東地域にも深刻な影響を及ぼしています。感染症の拡大に加えて、紛争や経済破綻、大規模な爆発災害といった予期せぬ事態に絶えず見舞われるレバノンやパレスチナで行われる国際赤十字の人道支援や日本赤十字社の活動について、五十嵐代表から紹介がありました。コロナ禍での活動は、海外への移動・渡航や国内の活動地へのアクセスが厳しく制限されるなどの困難に直面する中で、現地の赤十字・赤新月社スタッフたちが社会で最も脆弱な人々に手を差し伸べていくこと、それを日本赤十字社が支えていくことの重要さを訴えました。

その後、2人の対談の中でも、今回のイスラエルとガザの軍事衝突と過去3度繰り返されてきた衝突との違いについて、特に今回が現地の人々に精神的に大きな負担を与えたことや、難民の将来的な処遇としての帰還の可能性についてなど、より詳細な意見交換がなされました。

参加した視聴者から多くの質問があり、限られた時間の中でできるだけ多くの質問にお二人から回答を頂きました。

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講演会中の対談の風景(左:錦田先生、右上:五十嵐代表、右下:司会者)

講演会の詳細は、是非動画リンクへアクセス下さい。

日本赤十字社では、これからも中東地域における現場での活動を支援していくと共に、現地の人びとの境遇や私たちの活動について、様々な形で報告、啓発活動を行っていきます。

本講演会の案内文はこちらから。

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