【速報16】ウクライナ危機:紛争激化から100日、400万人以上を支援したウクライナ赤十字社
ウクライナでの紛争が激化して100日が経ちました。中長期化するウクライナ人道危機の支援には、日本赤十字社をはじめ世界各地から支援の手が差し伸べられていますが、まさに危機の中心で活動を続けるウクライナ赤十字社は、全国183の支部に所属する8000人以上のボランティアと約500人の職員で、困窮する人々を助けるため日々尽力しています。
紛争が始まって以来、ウクライナ赤十字社は438万人以上の人々を支援してきました。(6月2日時点)
●物資支援
2月24日以降、紛争で被害を受けた人々を支援するために、これまで16,275トン以上に及ぶ支援物資をウクライナの各地域に配付してきました。
具体的な支援物資の内容 | - 男性用および女性用の衛生用品 - 食料、飲料水 - 医薬品、衣料、靴など - 国内避難民のための生活用品:毛布、マットレス、ベッドリネン、タオル、食器類 - 家電製品:電子レンジ、パン焼き器、冷蔵庫、洗濯機、発電機 - 子供用品:衣類、食品、衛生用品、オムツ、ベビーカー など |
---|
・ウクライナ中部にあるヴィーンヌィツャでは、ウクライナ赤十字社が救援物資の国内拠点倉庫の一つを運営しています。ここでは、ボランティアが毎日何百トンもの救援物資を受け取り、分類して保管し、ウクライナ各地へ随時発送しています。
●避難支援
これまで高齢者や女性・子ども、身体が不自由な人など、自力での避難が困難な人々を中心に220,488人の避難支援を行いました。
・ウクライナ赤十字社の緊急救援対応チームが、ウクライナ東部ドネツク州スラビャンスク市とクラマトルスク市から、2日間で合わせて15人の重病患者を他地域に避難させました。特に激しい紛争が起きているウクライナ東部での避難支援は簡単ではありませんが、現地赤十字スタッフやボランティアは懸命に人道支援を続けています。
重病患者の避難を手伝う赤十字スタッフとボランティア (C)ウクライナ赤十字社
●救急法(応急手当)研修などの支援
これまで、避難民やボランティア52,750人に対して救急法の指導、1,171人に対して地雷知識などの危険回避教育等、危機管理に関する支援を実施してきました。対面講習に参加できない人々のために、オンライン形式の教材も用意し、救急法を広めています。
救急法(応急手当)の指導(C)ウクライナ赤十字社
・ウクライナ南東部ドネツク州では、ウクライナ赤十字社が子供たちを対象に救急法に関する講習を開催しました。子ども達は、講習を通して自分や近くの人が怪我をした時に手当てする方法や出血を止める方法などを学んでいます。
応急手当の講習を受ける子どもたち(C)ウクライナ赤十字社
「紛争時は、正しくかつシンプルな行動が命を救うため、確実な応急処置を時間内に行うことが非常に重要です。」とウクライナ赤十字社スタッフは言います。
ひとりでも多くの人が自分や身近な人を守れるように、このような救急法に関する支援が続けられています。
●こころのケア
これまで合計約140のこころのケア活動(イベント形式)が開催され、16,225人以上が参加しました。
・ウクライナ西部、ウジュホロドの避難所では子どもたちのためのこころのケアのイベントが週に2度開催されています。特に子どもたちは、経験したストレスに対処するのがとても難しいため、こころのケアは大変重要です。
この写真は避難所にいるアリーナちゃん(6歳)、ソニアちゃん(7歳)がボランティアのダイアナさんと一緒にゲームや遊びを楽しんでいる様子です。
避難生活を余儀なくされた人々は食料や避難場所などの生活環境の確保に加えて、心理的な助けを必要としています。このようなこころのケアのイベントを通じてコミュニケーションをとることで、ストレスの軽減とこころの健康を促進しています。
その他、医療の提供はもちろん献血の実施、訪問介護、飲料水確保のための「ろ過装置」を設置するなど、ウクライナ赤十字社の支援活動は多岐にわたっています。
■正しい情報を知ること・忘れないこと
「苦しむ人々のことを忘れないこと」それはウクライナ人道危機に限らずとても重要なことです。一般的に、紛争が中長期化し、危機の状態が続くと人々の関心は薄れてしまいます。
現地の正しい情報を知り関心を持ち続けること、また情報を共有することも支援の輪を広げるひとつです。ウクライナ赤十字社の活動状況については、同社のTwitter / Facebookより最新の情報がご覧頂けます。
人間のいのちと健康、尊厳を守るため赤十字はウクライナとその周辺国で起きている大規模な人道危機に向き合い続けます。これからも赤十字活動へのご理解とご支援をよろしくお願いいたします。
「ウクライナ人道危機救援金」
受付期間: 2022年3月2日(水)~2022年9月30日(金)
使途 : 国際赤十字・赤新月社連盟、赤十字国際委員会、および各国赤十字・赤新月社が実施する、ウクライナでの人道危機対応及びウクライナからの避難民を受け入れる周辺国とその他の国々における救援活動を支援するために使われます。