【速報2】パキスタン洪水:被害はさらに深刻化 / 援助要請が拡大する中、日赤から救援物資を支援
2022年6月中旬からパキスタンを襲った豪雨は、過去30年の平均の3倍もの異常な雨量となり、同国ではここ数十年で最悪の洪水を引き起こしました。この洪水により3,300万人が被災し、10月9日時点で、632人の子どもを含む1,700人が命を落とし、少なくとも12,867人が負傷、210万棟近くの家屋が損壊したと報告され、およそ800万人もの人々が避難生活を余儀なくされています。
発災から数か月、被災地で大きな問題となっていることの一つに、感染症患者の急増が挙げられます。給水施設や衛生・保健施設の損壊により、コレラ、デング熱、マラリア等の感染症や水を媒介とする病気が流行し、現地では対応が急がれています。
支援を続けるパキスタン赤新月社
パキスタン赤新月社は国際赤十字のサポートのもと、これまで最も被害の大きい34の地区を中心に27万人の被災者を支援しました。国際赤十字社との連携はもちろん、地元当局や国連、その他の機関と協力し、より大きなニーズに応えるため調整を続けています。
これまでの主な活動(2022年9月末現在)
・11,640張のテントを配付。81,000人以上が利用。
・7つの巡回診療、17の医療施設、および継続的な応急処置の支援を通じて、22,200人以上に医療支援を提供。
・113,420人以上に以下の救援物資を配付。
(10,865個の食料セット、7,900食以上の温かい食事、5,440張の蚊帳、6,300個以上の衛生用品キット 4,500以上の毛布や調理器具等の日用品)
・シンド州、バロチスタン州、カイバル・パクトゥンクワ州に6つの浄水場を設置。500万リットル以上の安全な水を供給。
(1日平均80,000リットルの安全な水を2,400世帯に供給)
救援物資配付の準備をするパキスタン赤新月社スタッフ©IFRC/Katie Hope
食事を配付するパキスタン赤新月社ボランティア©PRCS
日赤は被災地の活動を支援するため救援物資を寄贈
日本赤十字社(日赤)は被災地の救援活動を支援するため、日赤がマレーシアに備蓄している海外救援物資の一部、2,000枚のブルーシートと923張の家族用テント(計約3,100万円相当)を、国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)を通じてパキスタン赤新月社に寄贈しました。
日赤支援のブルーシート2,000枚©IFRC
ブルーシート2,000枚は、9月末にパキスタンのイスラマバードに到着、923基の家族用テントももうすぐ発送される予定です。
こうした救援物資は、パキスタン赤新月社により、家をなくした被災者などに優先して配付される予定です。
遠く離れた被災地への支援の形は様々ですが、現地のニーズに合わせ、日赤が今できる支援を適切なタイミングで行えるよう、国際赤十字との連携を続けていきます。
国際赤十字・赤新月社連盟は緊急救援アピールを増額改訂
連盟は、災害の規模や洪水の長期的な影響から生じる大規模な人道的ニーズを考慮し、国内の様々な地区で100万人に支援が届くよう、緊急救援アピール(資金援助要請)を4,000万スイスフラン(約58億4,000万円)に増額改訂しました。同アピールにより保健衛生に関する問題に取り組み、シェルター(避難所やテント)、生計、現金給付の支援を提供する予定です。
連盟のパキスタン代表であるピーター・オフォフさんは改訂した緊急アピールとその活動について次のように述べています。
「この改訂により、最も弱い立場にいる人々、特に支援が届きにくい地域に住む人々を支援することができるようになります。この災害が更なる大惨事へと繋がる前に、私たちは公衆衛生危機の予防を拡大するため、衛生設備へのアクセスを改善し、新たな健康危機に関する衛生意識を高めるなど、活動を続けています。」
発災当初、国土の3分の1が水没したという映像は日本のメディアでも大きく報道され、人々に衝撃を与えました。しかし、世界各地で災害や紛争が続き、これだけ大規模なパキスタンの洪水被害も徐々に人々の目に留まりにくくなってきました。
拡大する支援ニーズに応えるため、赤十字はこれからも被災地の救援及び復興活動に尽力し、ひとりでも多くの人々の苦しみを軽減するため、被災者に寄り添った人道支援を続けます。
引き続き皆さまの温かいご協力をよろしくお願いいたします。
「2022年パキスタン洪水救援金」
受付期間: 2022年9月6日(火)~2022年11月30日(水)
使途 : 国際赤十字・赤新月社連盟とパキスタン赤新月社等が実施する洪水災害の救援・復興活動及びパキスタン・イスラム共和国での赤十字の人道支援に使われます。