【速報】ミャンマー・バングラデシュ：大型サイクロン 「モカ」が上陸、日赤は500万円の資金援助決定
５月14日、最大風速230～250km/時という非常に強い勢力のサイクロン「モカ」がバングラデシュのコックスバザールとミャンマーのラカイン州沿岸部を直撃しました。
両国では建物の倒壊、インフラの損壊などが確認された他、多数の避難者、負傷者・死者が発生するなど、大きな被害が発生しています。
特に深刻な被害を受けたミャンマーでは、サイクロンによる２メートルを超える高潮や激しい雨がラカイン州を中心とした低地を襲い、広範囲で浸水の被害が報告されています。現地では道路や橋が崩落したため交通アクセスが制限されており、被害状況や、支援ニーズの調査が困難な状況が続いていて、その全容は未だ明らかになっていません。現地赤十字社はスタッフ・ボランティアの安全を最優先にできる限りの救援活動を続けています。
【被災者数】
ミャンマー ： 2,200,000人
バングラデシュ ： 450,000人
■更なる脆弱化が懸念される被災地
今回のサイクロンが襲った場所は世界最大の難民キャンプを持つバングラデシュと2021年のクーデター以降情勢不安が続くミャンマーであり、既に脆弱な状況となっていた地域でした。幸いにもバングラデシュにおける被害は予想されていたよりも小さいものでしたが、それでも何万もの家族や建物が被害を受け、日赤が2017年から支援を続けているコックスバザールの難民キャンプだけを見ても、21,148人が被災し、16人が負傷、3,531人の避難者が発生したと報告されています（2023年5月15日時点）。
一方、情勢不安が続くミャンマーは、この災害以前から600万人以上が人道支援を必要とし、120万人の国内避難民が発生していました。そんな状況下、今回のサイクロンは、すでに脆弱な立場に置かれた人びとの生活に更なる追い打ちをかけることになりました。
現地では地元の赤十字が救援物資や避難所の提供など緊急ニーズに対応していますが、その後更に苦しい立場に置かれてしまう人びとの今後の生活も見据えて支援を継続する必要があります。
サイクロンが上陸したラカイン州シットウェイ©ミャンマー赤十字社
■現地赤十字・赤新月社の対応
被災国の赤十字・赤新月社であるミャンマー赤十字社およびバングラデシュ赤新月社はサイクロンが上陸する前から準備を整え、被災地で人道支援を続けています。
ミャンマー赤十字社
上陸に先立ち、すべての支部へサイクロンに関する情報共有を行い、計849人のボランティアとスタッフが、避難、捜索・救助活動、状況とニーズの把握、救援活動等のために動員されました。
事前に2,000世帯分の救援物資を被災地となり得る場所へ輸送し配付するなどの支援が行われています。
救助活動を行うスタッフ©ミャンマー赤十字社
バングラデシュ赤新月社
8,000人以上のボランティア・スタッフが動員され、上陸前の対策をはじめ、現在も支援活動を継続しています。
53の避難所を設置し、その全てに長期保存が可能な乾燥食品や安全な水、飲料水用容器、浄水剤や石鹸などの衛生用品を配置し、28,000人が利用しています。加えて、24,733枚のブルーシート、5,861個の家屋修繕キット、2,155張の家族用テント、8,582枚のマットレス、2,099のキッチンセット、4,500枚の蚊帳、6,589枚の毛布などを準備し、避難所支援に迅速に対応しています。
サイクロン通過後被害状況を確認するスタッフとボランティア©バングラデシュ赤新月社
■国際赤十字は被災地の活動を支援、日赤は500万円の資金援助決定
上記のような被災地赤十字社・赤新月社の活動をサポートし、拡大・継続させていくため、国際赤十字・赤新月社連盟は、ミャンマーでは350万スイスフランの緊急アピールを、バングラデシュでは50万スイスフランのDREF（災害救援緊急基金）を発出しました。この資金援助要請に基づき、両国合わせて最も影響を受けた人びと計55,000人を対象に、物資支援、保健・医療支援、現金給付、こころのケアなど包括的な支援が行われる予定です。
日本赤十字社は緊急の対応として、ミャンマー赤十字社の活動を支援する連盟緊急アピールへの500万円の資金援助を決定しました。
被災者の避難を支援するボランティア©ミャンマー赤十字社
依然として被害の全容は掴めておりませんが、地域に根付く赤十字・赤新月社が被災者への支援を確実に届けています。日赤は、今後も現地赤十字社・赤新月社の救援・復興活動に協力していきます。