パレスチナ・ガザ:パレスチナ自治区にも広がる支援の輪

日本赤十字社(日赤)は201910月からパレスチナ・ガザ地区においてパレスチナ赤新月社(パ赤)が運営する病院への医療技術支援を行っています。2020年からは新型コロナウイルスの世界的な蔓延や情勢不安により日赤スタッフの派遣を中断し、オンラインを駆使したリモート支援を行っていました。情勢を見ながら2022年末より準備を進め、20237月に松永日赤中東地域代表、杉本医師(日赤愛知医療センター名古屋第二病院)、中司医師(日赤医療センター)、川瀨看護師(大阪赤十字病院)、角山助産師(大阪赤十字病院)の5名からなるチームにて派遣を再開し、①看護実践の向上と②新生児ケアの強化を20253月迄の活動の二本柱に定めたところです。

はじめまして、お久しぶりです!

8月からは川瀨看護師・角山助産師の2名が現地に残り、現地スタッフと共に活動を本格化しています。川瀨看護師は7月にガザ入りする直前までの約1年間、日本からリモートで支援を行ってきました。こまかな事業の進捗確認、情勢が不安定になった際には現地スタッフの安否確認や声かけにと、WhatsAppといったアプリケーションも使いながら現地とのコミュニケーションを根気強く続けてきました。現地で関係者に直接会える日が来るのを、最も心待ちにしていたメンバーの一人です。ガザに入域し、念願の対面が叶った日のことを「なんだか懐かしい気持ちで胸がいっぱいになりました」と振り返ります。

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実派遣が再開し関係者との対面が叶った川瀬看護師(写真右)

看護実践の向上に向けたさらなる一歩

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対面での集合が実現した日赤チーム。左から角山助産師、モハンマド看護部長、川瀨看護師、松永代表、ハッサン職員、ハムディ職員。

看護プロトコル(手順書)の作成は2019年当初からリモート支援の期間中も含め継続していた活動の一つです。大切なのは作成した手順が現場で実行され、医療の質が向上することです。要員の派遣が再開したことにより、日赤の要員が実際に現場で現地スタッフに寄り添いながらOJT(実施研修)を行うことが可能になります。

新生児ケアの強化に向けて

日赤とパ赤と合同で行ってきたニーズ調査ではアルクッズ病院の周産期・新生児領域における知識や技術の向上も特に重要と確認されました。出生率の高いガザでは、NICU(新生児集中治療室)の役割が重要ですが、大規模な人事異動などから経験の浅いスタッフへの教育が喫緊の課題です。角山助産師は「基礎的な看護技術の向上や感染対策、急変対応など、現地のスタッフに寄り添って一緒に行っていけたらと思います」と話します。

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現地スタッフと打合せをする角山助産師(写真右端)

これからもガザの人々の希望となれるように

パ赤と日赤の事業を現地で力強く牽引してきたハムディ職員は「ガザ地区は緊張と不安が絶えない地域です。ガザの人々にとって日本からの支援はとても貴重なものです」と話します。要員の派遣再開に向けては、202212月末から現地スタッフと共に課題とニーズの整理を行ってきました。移動の自由が制限されているガザでは、患者の治療・処置について域内での完結が求められる一方で、日本の医療従事者が日々行っているような医療技術のアップデートの機会は限られています。日赤はアルクッズ病院、ひいては地域が抱える課題・ニーズに寄り添っていけるよう、活動を継続します。

ガザの人々の健康と生命をこれからも守っていけるように、パ赤と日赤の医療支援事業を暖かく見守り、ご支援頂けたら幸いです。

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日赤の派遣再開に際してパ赤・日赤の関係者。

 

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