いのちと健康は自分たちで守る ~ブルンジ:赤十字ボランティアのたすけあい~
日本赤十字社(日赤)は、2017年より国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)を通して、東アフリカ地域で地域の人びとの自発的な取り組みを支える活動を支援しています(詳しくは、こちら:東アフリカ地域コミュニティ参画強化事業)。2023年度は、ブルンジ、タンザニア、ウガンダで活動を展開しており、今回は、ブルンジの赤十字ボランティアの活躍をご紹介します。
■明日から住む家がない
ジャクリーン・ニヨマホロさんは、4人の子どもの母親です。夫が病気で療養中のため仕事ができず、一家が住む住宅の家賃も支払えなくなり、途方に暮れていました。経済的に苦しいことから、自分で家を建てることもできません。そんな時、ジャクリーンさんは偶然ラジオで、ブルンジ赤十字社のフリーダイヤル「109」の存在を知りました。藁にもすがる思いで、電話をして助けを求めたジャクリーンさん。ホットラインを通じて彼女の訴えを聞いた赤十字ボランティアは、直ちに赤十字ルシーガ丘陵地区のスタッフに連絡を取りました。
赤十字ルシーガ丘陵地区のボランティアとジャクリーンさん
ジャクリーンさん一家の苦境を確認した赤十字ルシーガ丘陵地区委員会は、地域の赤十字ボランティアを動員して、一家のために家を建てることを決めました。「そこでわたしたちは、レンガを作って壁を積み、その上に藁の屋根を置くことにしました。これは、わたしたちにできることの全てでした」と委員長は言います。
「赤十字ボランティアのみなさんが、わたしを助けてくれました。ここが今のわたしの家です。」ジャクリーンさんは感謝の気持ちを話してくれました。
フリーダイヤル「109」は、ブルンジ赤十字社が人びとに災害の早期警報を伝えるライフラインであると同時に、平時から赤十字とコミュニティの人びとを直接つなぐ「いのちのホットライン」です。人びとの生の声、意見、苦情に耳を傾け、人びとから提供される情報に基づいて本当に必要な支援を提供するためのツールとして、大切な役割を担っています。
レンガを作る赤十字ボランティアたち
晴れて新居が完成しました!
■もっとも助けを必要としている人のために汗を流すということ
社会的に弱い立場に置かれた人びとを支援する取り組みは、ブルンジ赤十字社の重要な活動のひとつです。しかし資金が限られているため、こうした支援を継続することは必ずしも容易ではないのです。イヤランダ丘陵地区もまた同じ課題を抱えています。活動資金を生み出すことも、地区の大切な役割です。イヤランダ丘陵地区の責任者、マクミ・アイザックさんは、ブルンジ赤十字社が主催する「コミュニティの参画と説明責任」手法の研修を受けた後、地区のボランティアを集めて、研修での学びと「クラブ・ムゴニキ(コミュニティのために貢献するクラブを意味する現地語)」について話し合いました。活動資金を定期的に拠出するための最善の方法について話し合いを重ねた結果、あることを合意しました。
「私たちは活動資金を捻出し、もっとも助けを必要としている人びとを支援できるようにするために、グループとして農場で働くことを決め、さっそく行動に移しました。こうした貢献をすることは困難をともなうものでしたが、苦労の甲斐あって、今年は問題なく、活動資金を捻出することができると思います。」とアイザックさんは話してくれました。
ボランティアが皆で、地域の地主の農場を耕し、家畜小屋を作ります。
■いのちと健康は自分で守る
アイザックさんが紹介した「コミュニティの参画と説明責任」は、赤十字運動が特に力を入れている手法です。取り組みを通じて、感染症や衛生、防災などに関する知識を赤十字と地域の人びとが共に学び、「いのちと健康は自分で守る」という意識を持って、地域の力を集結して行動することを目指しています。
イヤランダ丘陵地区の責任者、マクミ・アイザックさん
農場での作業で得た収入で、地域でもっとも助けを必要としている人びとへ物資を供与することができました。
地域の問題を解決することが出来るのは、その地域の人びとです。ブルンジの赤十字ボランティアは、地域住民の声を聞き、もっとも助けを必要としている人びとに寄り添うことで、誰も取り残さない、インクルーシブな社会の構築へ向けて、小さなたすけあいを積み重ねています。