【速報16】イスラエル・ガザ人道危機:最前線で続く人道支援を支えるため日赤から1億円の追加資金援助を実施
10月7日から激化したイスラエル・ガザの間での武力衝突。大量の避難民が逃れているガザ南部や難民キャンプ等がさらなる攻撃を受け、イスラエルでとらわれた人質の全員解放にも至っていません。
赤十字は、深刻化する一方の人道危機の中で、最前線で救援活動を続けています。
パレスチナ赤新月社 女性や子どもに対する支援を実施
パレスチナ赤新月社(以下、パレスチナ赤)は、武力衝突激化以来、救急車による患者の搬送やパレスチナ赤病院での治療、ラファ検問所からの救援物資の受け取りと配付など、人びとが必要とする人道支援を続けています。
多くの人びとが過酷な避難生活を強いられている中、パレスチナ赤のスタッフやボランティアは、避難している女性や子ども、高齢者など特に支援を必要とする人びとのためにも支援を実施しています。
ガザ南部のハンユニスでは、パレスチナ赤のチームが避難所を訪問し、妊婦や最近出産したばかりの女性に対し、母乳育児や母親が適切な栄養をとることの大切さについての啓発活動を実施しました。また慢性疾患を患っている人びとに対して血圧や血糖値を測定しました。
ガザの多くの子どもたちは、肉親を亡くしたり、日々恐れや不安を抱えながら密集した避難所での生活を余儀なくされています。パレスチナ赤のスタッフやボランティアは、自身も過酷な状況の中、ラファやハンユニスなど南部の避難所で過ごしている子どもたちに対するケアも続けています。厳しい状況で過ごす子どもたちにとって、遊びや音楽を通して友達と遊んだり笑ったりできることは大切なこころのケアです。
また、パレスチナ赤のチームは避難している女性たちに対してもこころのケアのセッションを実施しました。各々が抱えている不安や現在の暮らしの厳しさなどを共有する場を作ることで、これまで自分が抑えていた気持ちに改めて気づき、同じ状況にいる人びととの連帯を確認することができました。
女性向けこころのケアセッション©PRCS
避難所で子どもたちのこころのケアを実施するスタッフ©PRCS
赤十字国際委員会総裁、イスラエルとパレスチナ被占領地を訪問
赤十字国際委員会(ICRC)のミリアナ・スポリアリッチ総裁は、ガザ地区でICRCの医療チームが活動しているヨーロッパ・ガザ病院を訪問しました。深刻なけがを負い治療が必要な子どもの両親がすでに亡くなっていたり、治療を負えないまま避難しなくてはならない人が多くいる現状について「言葉に言い表せない」と述べました。そして、戦闘の規模縮小に加えて、軍事的解決以外の打開策を改めて国際社会に求めました。
スポリアリッチ総裁はガザ地区に続いて、イスラエルと、パレスチナ赤本社があるヨルダン川西岸地区を訪問。イスラエルでは、現行の紛争による人道上の被害、特に人質問題について政府高官と会談。人質の家族とも面会し、捕らわれている人びととの面会を実現するためにハマスと直接会って話し、影響力を持つ人たちとも話し合いを重ね、全力で取り組んでいることを伝えました。また、ここ数十年で最も暴力の応酬が激しさを帯びてきているヨルダン川西岸では、保健当局との面談に加えて、イスラエルに捕らわれていたパレスチナ人被拘束者の代表団と会談。いまだ釈放されていない人びとの収容所内での処遇を確認できるよう、イスラエル当局と対話を重ねている現状を説明しました。
ICRCは、人質や被拘束者が人道的な処遇を受けて、拘束を解かれた後に家族の元へ無事に戻ることができるよう、あらゆる努力を尽くしています。
日赤から追加の資金援助
日本赤十字社は、現地で継続し拡大する支援のニーズを踏まえ、パレスチナ赤新月社とICRCに5,000万円ずつ、計1億円の追加資金援助を実施いたしました。
現場で求められている支援に最大限対応すべく、日本赤十字社は引き続き、現地の赤十字・赤新月社を通じて必要な支援が必要な人びとに届けられるよう尽力します。
みなさまの温かいご支援を引き続きよろしくお願い致します。
「イスラエル・ガザ人道危機救援金」
受付期間: 2023年10月17日(火)~2024年1月31日(水)
使途 : 赤十字国際委員会(ICRC)、国際赤十字・赤新月社連盟、イスラエル・ダビデの赤盾社、パレスチナ赤新月社、日本赤十字社が行う救援・復興支援活動等に使用されます。*周辺国等に人道危機が波及した場合には、その対応を含む。