台湾東部沖地震:地震から半年。より良い復興に向けて。

4月3日に発生した台湾東部沖地震から半年が経過。被災地は落ち着きを取り戻してきているものの、震災で最も被害を受けた花蓮県の観光地である太魯閣渓谷は依然として封鎖されるなど、観光産業が主な収入源である花蓮県への影響は現在も続いています。

また、日本と同じく災害が頻発する台湾。地震の後にも、非常に勢力の強い台風が7月と10月に上陸し、暴風雨や洪水によって多数の死傷者が発生しました。先週3日に台湾に上陸した台風18号では、複数の方が命を落とし、1万人以上が一時避難を余儀なくされたと報道されています。台湾赤十字組織(以下、台湾赤)は、台風の上陸前から各地で救援物資の配付準備や救護班の出動準備を進め、避難所に避難する被災者の方々へ寝袋を届けるなど迅速に対応しました。

新たな災害によって復興への歩みが遅れてしまう懸念も拭えませんが、台湾赤を含め、台湾の人びとは災害への備えと対応を繰り返しながら、復興への道を歩んでいます。

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出動に備えライフジャケットや救助用ボート、救援物資の配付準備を進める台湾赤花蓮県支部©TRCO

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10月7日新台北市の避難所で寝袋50個を配付©TRCO

■温かな思いやりの心を支援の形に

台湾赤は、地震で大きな被害を受けた人びとの心に寄り添う復興支援を実施しています。

台湾には、毎年9月に「中秋節」と呼ばれる伝統的な祭事があり、普段は離れて暮らしている人びとも家族のもとに集まり、家族団らんの時間を大切に過ごします。

花蓮では4月3日の地震により、住んでいた家屋が被害を受けたり、自身や家族がけがをしたりと、生活が一変し、心に傷を負った被災者が多数います。台湾赤は、そうした人びとが祭事をお祝いできるよう、少しでも心が安らぎ、前を向くことを願って被災者に贈り物を配付しました。 

9月初旬、台湾赤の花蓮県支部で被災者に丁寧に手渡された贈り物。配られた460個の贈り物の一つ一つには、被災者への慰労の言葉と寄り添いのメッセージが添えられ、贈り物を受け取った被災者からは笑顔が見られました。また、贈り物の中身は、地元企業の製品を詰め合わせることにより、地域の活性化にもつなげることを目指し、被災地の復興にも貢献しています。

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被害を大きく受けた被災者に贈り物を手渡す台湾赤職員©TRCO

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“思いやりが穏やかな夜明けの輝きのように
あなたの心を温めますように 

祝福が絶え間ない星の輝きのように
あなたの一歩一歩に寄り添いますように”

贈り物に添えられたメッセージ©TRCO

この贈り物は、自らも被災者でありながら発災直後に被災地に駆けつけ、捜索・救助活動に従事した花蓮県支部の災害救助ボランティアにも手渡され、緊急時にも強い連携で活動する赤十字ボランティアに対する感謝と敬意が示されました。

※台湾赤花蓮県支部の災害救助ボランティアが発災当時の様子を語ったインタビュー記事は、赤十字NEWS10月号に掲載されていますので、ぜひ併せてご覧ください。

■皆さまのご寄付が救援から復興支援へ

6月28日に受付を終了した「2024年台湾東部沖地震救援金」には、289,8256,045もの支援が寄せられました。多くの方々からの温かなご支援に、心より感謝申し上げます。

皆さまからお寄せいただいた救援金をもとに、日本赤十字社はこれまでに台湾赤に対して105,000万円の資金援助を行い、以下のような台湾赤の救援および早期復興支援計画を支えています。

緊急救援 震災で建物や渓谷に閉じ込められた被災者や行方不明者の捜索・救助活動、一時避難テントの設置等。
犠牲者のご遺族・負傷者への支援

犠牲者のご遺族へ弔慰金、震災により負傷した方々へ見舞金の配付。

家庭用品購入のための引換券配付 政府が危険であると認定した建物被害を受けた被災者に、家庭用品の購入のための引換券(各世帯 約14万円分)を配付。
生活支援(食料支援等) 震災の影響で収入が減少した世帯を対象に、現金や救援物資、食事の提供。
教育支援(学費補助等) 震災の影響を受けた地域において学費や教育補助金を提供。
台湾の祝祭における支援 中秋節、春節などの祝祭で贈り物や食事を配付。
社会インフラ施設の建設支援 花蓮県政府と共同で ①緊急避難所兼コミュニティセンター(和平村)、②消防署(水璉)の建設/再建を支援。
救護体制の強化、防災支援 台湾赤の救護活動のための車両、通信設備、資材や装備の強化、訓練の実施等。国家認証ライセンスの取得による救助ボランティアの能力向上。
救急法等講習の実施 水上安全法、障がい者向け水泳講習の指導員講習、救急法等の講習の実施。
台湾赤の組織強化等 青少年のボランティアの育成。災害管理、ボランティアの活用に関する研修等による組織の対応能力強化。

日本赤十字社は、台湾赤による中長期的な復興支援をさらに支えるため、177,200万円の追加資金援助を実施する予定であり、現在、台湾赤と支援計画を調整しています。今後も台湾赤との協議を重ね、より良い復興支援を進めてまいります。

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政府主催の救護訓練に参加する台湾赤の災害救助ボランティア©TRCO

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家屋修繕の補助金を支援する台湾赤、多数の希望者の申請を受け付ける©TRCO

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