【速報2】レバノン人道危機:深刻化する人道危機、赤十字の活動

速報1でお伝えした以降も、レバノンでは急速に人道状況が悪化しています。空爆は首都ベイルートを含む全国に拡大しており、民間人や住宅にも被害が出ているほか、南部では地上戦も確認されています。レバノン保健省によれば昨年の10月以降これまでに2400人以上の死者、1万1000人以上の負傷者が報告されています(1017日時点)。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によれば、レバノン国内では120万人以上が避難を余儀なくされていますが、さらに、隣国のシリアに移動する人びとも日々増えています。これまでに42万人以上(約7割がレバノンで暮らしていたシリア難民、約3割がレバノン人)がレバノンからシリアへの国境を越えました(1021日時点)

赤十字による活動

レバノン赤十字社

通信機器の連続爆発が起きた9月17日当初から、現在に至るまで、武力衝突による影響を受けた人びとのために継続的に支援を行っています。救急隊による負傷者の捜索や救助のほか、避難所の訪問、避難所の設備(シャワーや飲料水等)の設置や修理なども担っています。

  • 救急車の出動:6万7500件以上
  • 避難者向け炊き出し:425000
  • ボトル入り飲料水の配付:121000
  • 食料品の配付:9万セット
  • マットレスの配付:3万3000
  • 衛生用品の配付:3万2000セット

10月中旬には、レバノン赤十字社の救急隊によって、がれきの下から三つ子の赤ちゃんが救出されました。「どんなに暗い瞬間にも希望がある」と、レバノン赤十字社は多くの人びとに支援が届くよう総力を結集しています。

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三つ子の赤ちゃんと救出にあたった救急隊©LRC

パレスチナ赤新月社レバノン支部

パレスチナ赤新月社レバノン支部は、レバノンに暮らすパレスチナ難民の人びとの医療を支える活動をしています。9月17日の爆発直後に負傷者の搬送や転送にあたったほか、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)と協力して、パレスチナ難民向けに新たに設置された避難所10カ所で、衛生キット(せっけんや歯ブラシ等)や女性支援キット(生理用品や下着等)の配付を行っています。

シリア赤新月社

シリア赤新月社では、レバノンから国境を越えてシリアへ避難する人びとのため総勢700人のボランティアとスタッフが救援活動を行っています。これまでに食料品18万セットが配付されたほか、1万6500人がシリア赤新月社が提供する医療サービスを利用しました。

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避難者の支援にあたるシリア赤新月社のスタッフ©SARC

国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)

レバノンでの支援強化のため、IFRCはこれまでに各国赤十字社との連携のもと、救急車12台、ラフタークレーン3台、移動式診療車1台をレバノン赤十字社に引き渡しました。また毛布4500枚、マットレス4000枚、衛生キット2300セット、遺体袋2000枚、外傷キット(手術用ハサミ、ガーゼや包帯等)等が現地に到着しました。

赤十字国際委員会(ICRC)

医療物資や11万リットルの燃料を現地の医療施設に引き渡したほか、262400人へ安全な飲料水の提供、食料品6800セット、キッチンセット(食器やフォーク・ナイフ等)1700セット、衛生用品6700個、毛布16200枚、マットレス3000枚の配付を行いました。

日本赤十字社

日本赤十字社は、これらレバノンでの活動を支援するために、レバノン赤十字社に3000万円、パレスチナ赤レバノン支部に3000万円、また、IFRCを通じてシリアとレバノンの赤十字の活動を支援するために1000万円ずつの緊急資金援助を実施しました。

レバノン赤十字社の医療従事者の負傷

人びとの命と尊厳を守るための緊急かつ必要な人道サービスの継続のため、すべての関係者が国際人道法IHL)を遵守することが重要です。レバノン赤十字社では、この数週間で15人のボランティアが負傷し、2台の救急車が任務中に損傷を受けました。赤十字は、すべての関係者に対し、医療活動の尊重を強く求めます。

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被害にあったレバノン赤十字社のスタッフと救急車©LRC

世界銀行によると、近年深刻な経済危機に見舞われてきたレバノンでは、人口の約4分の3が貧困線(生活していくために最低限必要な収入の基準)以下で生活しています。またシリア難民やパレスチナ難民といった多くの難民を受け入れている国でもあります。武力衝突の激化で増大する人道支援ニーズへの対応のため、国際的な支援が急務です。人びとの命と尊厳を守る活動の継続のため、皆さまのご支援をよろしくお願いいたします。

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「レバノン人道危機救援金」

受付期間: 2024年10月15日(火)~2024年12月27日(金) 

使途  : 赤十字国際委員会(ICRC)、国際赤十字・赤新月社連盟、レバノン赤十字社、日本赤十字社等が実施するレバノン国内およびレバノンからの避難民を受け入れるシリアをはじめとする周辺国とその他の国々における救援・復興支援活動等に充てられます。