台湾東部沖地震発生から1年 -台湾赤十字組織による復興への取り組み-
2024年4月3日に台湾東部沖を震源としたマグニチュード7.4の地震が発生してから明日で1年です。1999年以降に台湾で発生した中では最大の地震となり、震源地付近の花蓮県を中心に450棟以上の建物の損壊や土砂崩れが発生、18名が犠牲となり、1,100名以上の人々が負傷しました。震災により地元の農業や観光業等にも大きな影響が出る中、夏から秋にかけては台風が台湾に複数回上陸し、被災者は度重なる災害にさらに苦しい状況に置かれました。
花蓮県の高層ビルで救助活動を行う
赤十字災害対応チーム©台湾赤十字組織
落石により通行不可となった太魯閣(たろこ)渓谷の遊歩道
©台湾赤十字組織
台湾赤十字組織(以下、台湾赤)は、地震発生直後からボランティアを中心に建物や渓谷に取り残された人々の懸命な救助活動を行うと同時に、小中学校の校庭などに46張のテントを設営して一時避難所を設置しました。また、犠牲者の遺族18名に弔慰金、負傷した入院患者24名にはお見舞金を支給しました。こうした中、日本赤十字社(以下、日赤)は2024年4月5日より「2024年台湾東部沖地震救援金」の受け付けを開始、同年6月末までに皆さまから28億9,800万円以上のご寄付をお寄せいただきました。これらのご寄付は、台湾赤の救援活動、および被災者の生活再建や被災地の復興支援活動、防災・減災に関するさまざまな取り組みに役立てられています。
台湾赤による一時避難所©台湾赤十字組織
家財引換券の配付©台湾赤十字組織
■被災者支援
震災発生から数か月が経過した後は、台湾赤による被災者支援は、救援活動から復興支援へと移行しました。特に家屋に深刻な被害を受けた610世帯には家財引換券、中程度の被害を受けた1,000世帯には修繕補助金を支給する経済支援を行いました。また、台風の被害も重なって影響を受けた世帯に1,500個の食料品セットを届けました。このセットの中には、花蓮県内で収穫された有機米などの地元産品も含まれ、被災者の生活支援と併せて、地元農家の生計再建にも役立てられています。また、度重なる被害で学業の継続が難しくなった39校の900名の生徒に対する教育補助金の給付も行いました。
■防災・減災の取り組み
2024年8月に台湾赤は、花蓮県で青少年救急訓練キャンプとジュニア防災キャンプを開催し、合計で約100名の若い世代を対象に応急手当や緊急対応技術などの実践的な防災・災害対策教育を行いました。12月には再び花蓮県で防災リーダー養成キャンプを開催し、高校生・大学生21名が防災スキルや災害対応の知識を学び、その修了生が指導役となって小学生17名を対象に心肺蘇生や災害シミュレーション等の災害対応能力を高める講習を行いました。また、2024年12月から2025年1月にかけて、26名のボランティアとスタッフを対象としたEMT-1(救急救命訓練)を開催しました。
さらに、花蓮県政府は台湾赤からの資金提供を受ける形でインフラの復興整備を進めています。花蓮県北部の和平村では地域に適切な避難施設がこれまでなかったため、新たに災害時の避難所の建設が進められています。平時には地域のコミュニティセンターとしても活用される予定です。併せて、花蓮県中部沿岸に位置する水璉消防署の再建も進められています。この消防署は、10年前に廃校となった中学校の建物を活用していましたが、今回の地震により大きな損壊を受け、政府により危険建築物として認定されました。消防署の再建は、今後の災害対応力の向上にもつながる重要なプロジェクトです。
救急救命訓練での心肺蘇生講習©台湾赤十字組織
防災セットにあらかじめ何を入れるべきか話し合う
子どもたち©台湾赤十字組織
■台湾赤の災害対応能力強化
台湾赤が有する人道教育センターは、台北都市圏の災害対策拠点となっており、救護体制のさらなる強化および組織強化にも取り組んでいます。救護車両や通信設備の拡充、災害対応ボランティアの訓練強化などを推進し、緊急支援のためのオンラインシステムの整備も行っています。
組織強化の一環で、今年の2月には台湾赤本社のスタッフの一人が日赤主催の国際救援・開発協力要員研修Ⅱ(IMPACT/International Mobilization and Preparation for ACTion)に参加しました。この研修は、赤十字の国際救援・開発協力の実践的知識・技術を習得することを目的としたものです。参加したキャシーさんは「IMPACTに参加して赤十字運動の枠組みを包括的に理解し、より多くの人々を支援する方法を理解することができました。
今回学んだ内容をもとに、私はこれまで以上に台湾赤の活動に貢献することができると確信していますし、この機会に同僚とも研修の学びを共有したいと思います」、また支援への感謝として「今回の花蓮県の復興には、日本の皆さまからの海外救援金が大きな力となっており、日本と台湾の間の深い絆を強く感じています。台湾赤は、日赤と日本の皆さまのご厚情とご支援に心より感謝しております。台湾と日本の友好が、互いに支え合いながら未来の困難に立ち向かい、さらに強く結ばれていくことを願います」と述べています。日赤は今後も台湾赤と密に連携し、被災地の復興支援と災害へのレジリエンスの強化に取り組んでいきます。
台湾赤のキャシーさん©日本赤十字社