2024年台湾東部沖地震救援事業
2024年4月3日午前7時58分(日本時間午前8時58分)、台湾の東部沖沿岸を震源としたマグニチュード7.4の地震が発生。花蓮市で震度6強を記録したほか、広い範囲で揺れが発生し、日本の沖縄、フィリピン沖でも津波警報が発出されるなど、大きな影響を及ぼしました。震源に近い観光地の太魯閣渓谷では、大規模な地滑りや落石が発生し、一時数百人が孤立状態に。さらに、地震後に雨が降ったことで行方不明者の捜索・救助活動が難航しました。
花蓮県の高層ビルで救助活動を行う災害対応チーム©台湾赤十字組織
台湾東部の広範で観測した揺れは、18名の犠牲者と1,163名の負傷者、2名の行方不明者を生むなど、人的被害をもたらしたほか、震源地付近の花蓮県や台湾北部の新台北市の建物・自然にも大きなダメージを与えました。花蓮市街地では、高層ビルが傾いたり、倒壊するなど、452棟もの建物が損壊し、1,900世帯以上の家屋が解体や修繕が必要な状況であることが確認されています。
支援の概要
台湾赤十字組織(台湾赤)の花蓮支部の災害対応チームは、発災から1時間半後には被災地域に出動し、市街地でビルに閉じ込められた人々の救出や太魯閣渓谷での救護活動にあたりました。さらに、被災地付近の小学校運動場にテントを設置し、避難した人々を受け入れる環境も提供。地元の消防庁と協力して負傷者や行方不明者の捜索、避難誘導などの活動を複数回にわたり実施しました。また、赤十字ボランティアが、避難所の設営やロジスティクス・事務管理の支援にあたり、一時避難場所としてテントを設けるなどの避難所支援も実施しました。この他にも台湾赤は、今回の震災により犠牲になった方のご遺族に弔慰金を給付し、連絡の取れた負傷者にもお見舞い金を配付。5月と7月には地震により深刻な建物被害を受けた計607世帯に、家庭用品の購入のための引換券を配付するなど、中長期的な被災者支援も実施しています。
出動準備を進める災害対応チーム©台湾赤十字組織
太魯閣渓谷での捜索・救助活動©台湾赤十字組織
一時避難のテントを設営©台湾赤十字組織
家庭用品の購入のための引換券を配付©台湾赤十字組織
日本赤十字社は、台湾赤の救援・復興支援活動及び防災活動を支援するため、2024年4月5日~6月28日まで「2024年台湾東部沖地震救援金」を募集し、合計28億9,825万6,045円もの支援が寄せられました。多くの方々からの温かなご支援に、心より感謝申し上げます。
皆さまからお寄せいただいた海外救援金をもとに、日赤はこれまでに台湾赤に対して10億5,000万円の資金援助を行い、台湾赤による、発災直後の捜索・救助活動等の緊急救援や、次のような早期復興支援計画を支えています。
緊急救援 |
震災で建物や渓谷に閉じ込められた被災者や行方不明者の捜索・救助活動、一時避難テントの設置等。 |
犠牲者のご遺族・負傷者への支援 |
犠牲者のご遺族へ弔慰金、震災により負傷した方々へ見舞金の配付。 |
家庭用品購入のための引換券配付 |
政府が危険であると認定した建物被害を受けた被災者に、家庭用品の購入のための引換券(各世帯 約14万円分)を配付。 |
生活支援(食料支援等) |
震災の影響で収入が減少した世帯を対象に、現金や救援物資、食事の提供。 |
教育支援(学費補助等) |
震災の影響を受けた地域において学費や教育補助金を提供。 |
台湾の祝祭における支援 |
中秋節、春節などの祝祭で贈り物や食事を配付。 |
社会インフラ施設の建設支援 |
花蓮県政府と共同で ①緊急避難所兼コミュニティセンター(和平村)、②消防署(水璉)の建設/再建を支援。 |
救護体制の強化、防災支援 |
台湾赤の救護活動のための車両、通信設備、資材や装備の強化、訓練の実施等。国家認証ライセンスの取得による救助ボランティアの能力向上。 |
救急法等講習の実施 |
水上安全法、障がい者向け水泳講習の指導員講習、救急法等の講習の実施。 |
台湾赤の組織強化等 |
青少年のボランティアの育成。災害管理、ボランティアの活用に関する研修等による組織の対応能力強化。 |
日本赤十字社は、台湾赤による中長期的な復興支援をさらに支えるため、17億7,200万円の追加資金援助を実施する予定であり、現在、台湾赤と支援計画を調整しています。今後も台湾赤との協議を重ね、より良い復興支援を進めてまいります。
損壊被害を受けた水璉消防署への訪問
和平村の緊急避難所の建設予定地視察
政府主催の救護訓練に参加する台湾赤の災害救助ボランティア©台湾赤十字組織
被害を大きく受けた被災者に中秋節の贈り物を手渡す台湾赤職員©台湾赤十字組織
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海外救援金の受付について
「2024年台湾東部沖地震救援金」の受け付けは、2024年6月28日をもって終了いたしました。
本救援金は、台湾赤十字組織が行う救援・復興支援活動及び防災・減災事業等に使用されます。