中東人道危機救援
子ども向けに衛生に関する啓発活動を行うイエメン赤新月社のボランティア(C)YRCS/Allawi Alhadadi
◆ 中東の人道危機とは ◆
◆ 中東人道危機救援事業 ◆
混乱の続く中東地域に対して、日本赤十字社は人々の苦難を少しでも和らげるため、2015年4月から、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)・赤十字国際委員会(ICRC)や現地の各国赤十字・赤新月社と共に、現地の人々に必要な支援を届ける事業を継続的に行っています。同年より日赤中東地域代表部をレバノンの首都ベイルートに設置し、現地のニーズの把握、事業実施、各組織との協力関係の構築に努めています。
日本赤十字社は、2015年3月以降これまで、中東各地での支援活動のために医師32人、助産師2人、看護師45人、事務職員11人などのべ計90人をレバノン、イラク、パレスチナ、ヨルダンなどに派遣し、その支援実績は総額約12億円を超えました(2024年5月時点)。
*2023年10月7日以降、一部の事業を中断しています。
◆ 展開中の支援事業 ◆
パレスチナ赤新月社レバノン支部との事業
レバノンのパレスチナ難民や地域住民に対する医療サービスの質の向上を目指して、日赤は2022年4月からパレスチナ赤新月社がレバノン国内で運営する5つの病院への第二期医療支援事業を実施し、①医療の質の標準化、②感染症対応の向上、③多数傷病者に対応できる体制の構築、④医師の診断能力の向上、⑤看護実践の質の向上、に取り組んでいます。
パレスチナ赤新月社ガザ支部との事業
度々の地域の緊張の高まりから、パレスチナのガザ地区では、重症患者をイスラエルの高次病院へ搬送することが日々困難になり、高度医療を地区内で完結させる必要が生じています。一方でパレスチナの人びとは移動の制限もあるため、医療従事者が日々進歩する医療技術について学ぶ機会もまた限られています。日赤は2019年10月からガザ地区においてパレスチナ赤が運営する病院への医療技術支援を行ってきました。途中新型コロナウイルス感染症の世界的流行などの時期には、リモート支援という形で現地を支えました。2023年7月からは再び現地にて①看護実践の向上、②新生児ケアの強化にかかる活動をしておりましたが、同年10月からのイスラエル・ガザ人道危機の影響で現在事業は中断しています。
レバノン赤十字社との事業
2011年のシリア紛争の勃発から10年以上が経過し、現在も150万人以上のシリア難民が隣国レバノンでの避難生活を続けています。昨今の経済危機により医薬品など生活必需品の高騰が著しいレバノンでは、難民にもホストコミュニティの人々にも深刻な影響が出ています。レバノン赤十字社は国内で診療所を運営し、困窮した人びとの健康な暮らしを支えられるよう活動しており、日赤はその後押しをしています。
◆ 中東関連のニュース ◆
- 2024年12月11日 中東全体:【NHK海外たすけあい】中東における赤十字の活動
- 2024年8月14日 レバノン: 慢性的な医薬品不足に苦しむパレスチナ社会
- 2024年7月10日 イベント報告: 6月20日は何の日?
- 2024年6月12日 レバノン:医療費を利用者がほぼ自己負担する国での支援
- 2023年9月13日 パレスチナ・ガザ:パレスチナ自治区にも広がる支援の輪
- 2023年7月19日 レバノン:顧みられない難民~私が出会ったパレスチナ難民~
- 2023年6月21日 世界難民の日イベント報告:社会の原動力とは?世界の難民・避難民と私たち
- 2023年4月26日 レバノン:現地に根付く支援の輪を ~パレスチナ難民キャンプの病院での活動~
- 2023年1月25日 パレスチナ・ガザ:外界と隔てられた世界に医療技術を
- 2022年10月19日 レバノン:ふたつの「世界一」を抱える国
- 2022年8月17日 パレスチナ・ガザ:学びの機会が少ない医師や看護師たちに
- 2022年5月18日 レバノン:難民が難民に対して質の高い医療を
- 2021年8月26日 レバノン首都の爆発災害から1年
- 2021年8月12日 オンライン講演会実施のご報告 「中東・パレスチナ情勢と赤十字支援」
- 2021年6月11日 パレスチナ・ガザ地区 情勢悪化のその後
- 2021年5月19日 速報:イスラエル・パレスチナ間の情勢悪化に伴う国際赤十字の対応
- 2021年5月12日 中東・イエメンの今―依然先が見えない状況
- 2020年11月26日 レバノン:爆発災害の復興支援と救援金の報告
- 2020年10月7日 レバノン:ベイルート爆発災害から2か月
- 2020年9月15日 中東事業報告会を開催しました(映像公開)
- 2020年8月13日 (速報2)レバノン首都ベイルートでの大規模爆発災害
- 2020年8月 7日 (速報)レバノン首都ベイルートでの大規模爆発災害
以下の活動報告や特集についても是非ご覧ください。
【シリア、戦火の中で】
ラワン・アブドゥルハイさん。シリア紛争下で、シリア赤新月社のボランティアとして救護活動に従事した経験を語って頂きました。2015 年11 月、ラワンさんの来日講演会の内容はこちら |
【紛争の被害にあうって、どんなこと?】
世界で起きる紛争について皆さんにより深く考えてもらえるように、日赤では学校での総合学習や地域の生涯学習で利用して頂けるように、シリア紛争に関する記事や冊子を作成しています。是非さまざまな場面でご活用いただければ幸いです。 |