中東人道危機救援

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子ども向けに衛生に関する啓発活動を行うイエメン赤新月社のボランティア(C)YRCS/Allawi Alhadadi

◆ 中東の人道危機とは ◆

 2010年に中東各国で起こった「アラブの春」と呼ばれる民主化運動から10年以上が経過しています。シリアにも及んだ民主化運動の波は内戦へと発展し、レバノンやトルコ、ヨルダンなど周辺国へ逃れた難民や、国内避難民を多く生み出しました。シリアの人たちの厳しい状況は現在まで収束することなく続いており、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2024年2月時点で、国外に避難するシリア難民は505万人、シリア国内の避難民は720万人に達しています。各々が逃れた先で限られた生活インフラの環境での暮らしを続け、将来の見えない不安から大きな危険を冒して欧州などへ移動する人たちもいます。
 中東地域はパレスチナ/イスラエルの歴史的な問題も抱えており、75年前に故郷を追われたパレスチナの人々は約4世代に渡って、それぞれの住む国・地域で厳しい生活を強いられています。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると2023年時点で593万人の登録難民がいるとされていますが、各国の政治情勢によって、パレスチナ難民の身分や社会的地位は常に不安定であり、その中でも人々は懸命に生活を送っています。また2023年10月7日以降のイスラエルとガザの間の武力衝突の激化により多くの人びとが悲しみ・苦しみの中過ごすことを余儀なくされており、人道状況の改善は急務です。イスラエル・ガザ人道危機救援の活動実績についてはこちらを、レバノン人道危機救援の活動実績についてはこちらをご覧ください。

◆ 中東人道危機救援事業 ◆

 混乱の続く中東地域に対して、日本赤十字社は人々の苦難を少しでも和らげるため、2015年4月から、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)・赤十字国際委員会(ICRC)や現地の各国赤十字・赤新月社と共に、現地の人々に必要な支援を届ける事業を継続的に行っています。同年より日赤中東地域代表部をレバノンの首都ベイルートに設置し、現地のニーズの把握、事業実施、各組織との協力関係の構築に努めています。

 日本赤十字社は、2015年3月以降これまで、中東各地での支援活動のために医師32人、助産師2人、看護師45人、事務職員11人などのべ計90人をレバノン、イラク、パレスチナ、ヨルダンなどに派遣し、その支援実績は総額約12億円を超えました(2024年5月時点)。

*2023年10月7日以降、一部の事業を中断しています。

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◆ 展開中の支援事業 ◆

パレスチナ赤新月社レバノン支部との事業

レバノンのパレスチナ難民や地域住民に対する医療サービスの質の向上を目指して、日赤は2022年4月からパレスチナ赤新月社がレバノン国内で運営する5つの病院への第二期医療支援事業を実施し、①医療の質の標準化、②感染症対応の向上、③多数傷病者に対応できる体制の構築、④医師の診断能力の向上、⑤看護実践の質の向上、に取り組んでいます。

活動報告(2022-2023)パレスチナ赤新月社レバノン支部事業.pdf

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パレスチナ赤新月社ガザ支部との事業

度々の地域の緊張の高まりから、パレスチナのガザ地区では、重症患者をイスラエルの高次病院へ搬送することが日々困難になり、高度医療を地区内で完結させる必要が生じています。一方でパレスチナの人びとは移動の制限もあるため、医療従事者が日々進歩する医療技術について学ぶ機会もまた限られています。日赤は2019年10月からガザ地区においてパレスチナ赤が運営する病院への医療技術支援を行ってきました。途中新型コロナウイルス感染症の世界的流行などの時期には、リモート支援という形で現地を支えました。2023年7月からは再び現地にて①看護実践の向上、②新生児ケアの強化にかかる活動をしておりましたが、同年10月からのイスラエル・ガザ人道危機の影響で現在事業は中断しています。

活動報告(2022-2023)パレスチナ赤新月社ガザ支部事業.pdf

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レバノン赤十字社との事業

2011年のシリア紛争の勃発から10年以上が経過し、現在も150万人以上のシリア難民が隣国レバノンでの避難生活を続けています。昨今の経済危機により医薬品など生活必需品の高騰が著しいレバノンでは、難民にもホストコミュニティの人々にも深刻な影響が出ています。レバノン赤十字社は国内で診療所を運営し、困窮した人びとの健康な暮らしを支えられるよう活動しており、日赤はその後押しをしています。

活動報告(2022-2023)レバノン赤十字社事業.pdf

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◆ 中東関連のニュース ◆

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以下の活動報告や特集についても是非ご覧ください。

【シリア、戦火の中で】

ラワン・アブドゥルハイさん。シリア紛争下で、シリア赤新月社のボランティアとして救護活動に従事した経験を語って頂きました。2015 年11 月、ラワンさんの来日講演会の内容はこちら 20210607-19e6fde2e895da8cd298f1b78fcafd94ac7a34b9.jpg

紛争の被害にあうって、どんなこと?

世界で起きる紛争について皆さんにより深く考えてもらえるように、日赤では学校での総合学習や地域の生涯学習で利用して頂けるように、シリア紛争に関する記事や冊子を作成しています。是非さまざまな場面でご活用いただければ幸いです。

特集ページはこちら

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