2023年トルコ・シリア地震救援

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壊滅的な被害を受けた被災地(トルコ)©TRCS

”地面にのみ込まれると思った次の瞬間、暗闇の中にいました。近くから子どもの泣き声と妻の叫び声が聞こえましたが、がれきに埋もれて身動きが取れず、自分はこのまま死んでしまうのだと思いました。何時間もたってから近づいてくる人の声が聞こえて、そして再び空を見ることができました。この恐ろしい記憶は、きっと長い間私の中にとどまり続けるでしょう。” ー被災者の声

トルコ・シリア地震

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 2023年2月6日午前4時17分(現地時間)、トルコ南東部のシリアとの国境付近でマグニチュード7.8の地震が発生。その後も同規模の余震が続き、数十万の建物が損壊したほか、トルコ、シリア両国合わせて6万人近くが犠牲となる甚大な被害がもたらされました。
 当時、シリアでは10年以上に及ぶ紛争や経済制裁などの影響によりすでに社会インフラがぜい弱であったことや、トルコ側の被災地域がおよそ12万平方キロメートルと広範囲に及ぶこと、また氷点下にもなる寒さの厳しい時期であったことなどさまざまな困難が重なる中、トルコとシリア両国の赤新月社(イスラム圏の赤十字社)は発災直後から被災地に駆け付け、救援活動を開始。国際赤十字はそのネットワークをいかして最前線の活動をサポートするなど、総力を挙げて被災者への支援に取り組んできました。

 発災から2年が経過した現在も多くの人びとが避難生活を余儀なくされる中、なんとか生活を立て直そうと地道な活動が続けられています。

 

トルコ赤新月社・シリア赤新月社および国際赤十字の対応

 両赤新月社は、発災直後の救命活動から、食料や水、住居、保健医療、こころのケアの提供など、被災した方々のいのちと健康、尊厳を守るため幅広い支援を続けています。

20230420-2866c26c956bc485a49e85372d8bd0211bc8cba0.pngトルコ赤新月社

避難所支援:テント・毛布の配付等。
食事の提供:炊き出しによる温かい食事の提供やレトルト食品の配付等。
保健医療支援:巡回診療による農村部での医療の提供、こころのケア、地域保健活動等。
水と衛生:ペットボトルや衛生キット(おむつ等)の配付、移動型シャワーや浄水設備の設置。
現金給付:キャッシュカードの活用による生活支援金の給付。
血液の供給:血液製剤の提供、献血推進キャンペーンの実施等。

20230417-32df96a3b3a37978156efff9e764d8abace60da6.jpg温かい食事をつくるトルコ赤新月社のスタッフ©TRCS

20230417-46401128b74d4ec5ea2c8143a2166582a6fbdafb.pngシリア赤新月社

救援物資の配付:食料、栄養補助剤、衛生用品、毛布、寝袋、マットレス等の配付。
救助活動:倒壊家屋からの救助・応急手当、病院への搬送。
保健医療支援:巡回診療、母子保健、医薬品提供、こころのケア支援等。
水と衛生:ペットボトルや衛生キットの配付、浄水タンクの設置。
離散家族支援:離ればなれになった家族の再会支援(情報提供等)。
予防・啓発活動:ジェンダーに基づく暴力の予防啓発活動、地震発生時の適切な対応を伝える講習等。

20230417-793fcc35dbe01f5e7c3b66cce2913ece3a1c861b.jpg負傷者に応急手当をするシリア赤新月社ボランティア ©SARC

20230417-8e7e4e726851d590ff9038af11b18bb9690bdcee.png国際赤十字・赤新月社連盟(連盟MicrosoftTeams-image.jpg赤十字国際委員会(ICRC

赤十字内外に向けて広く支援を呼びかける「緊急救援アピール」を発出するなど、国際連携の調整を図っています。

【連盟】 緊急救援アピール

トルコにおける活動のため:4億スイスフラン(約600億円) ※連盟事務局の要請額
(連盟、被災国およびパートナー赤十字・赤新月社の要請額合計は7億5,000万スイスフラン)

シリアにおける活動のため:1億スイスフラン(約150億円) ※連盟事務局の要請額
(連盟、被災国およびパートナー赤十字・赤新月社の要請額合計は2億スイスフラン)

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シリアの被災者に配付する救援物資を輸送する連盟スタッフ©IFRC

ICRC】 予算拡大アピール

トルコにおける活動のため: 260万スイスフラン(約3.9億円)

シリアにおける活動のため: 2,900万スイスフラン(約43.5億円)

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アレッポの被災状況調査を行うICRCとシリア赤新月社職員©ICRC

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 ※上記日本円は1スイスフラン=150円で計算した場合

緊急救援アピールに関連する資料
【 トルコ 】

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緊急救援アピールの改訂活動戦略(2023年6月7日付)
REVISED OPERATIONAL STRATEGY (日本語)(2.2 MB)

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緊急救援アピールの活動報告書(2024年2月2日付)
OPERATION UPDATE5(日本語).pdf(2.3 MB)

【 シリア 】

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緊急救援アピールの活動戦略(2023年3月12日付)
OPERATIONAL STRATEGY (日本語).pdf

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緊急救援アピールの活動報告書(2023年12月20付)
OPERATION UPDATE2(日本語)(3.1 MB)

日本赤十字社の対応

「トルコ・シリア地震救援金」の募集 -ご協力ありがとうございました。

日本赤十字社は国際赤十字の大規模な資金援助要請に対して速やかに「2023年トルコ・シリア地震救援金」の募集を行いました(2023年2月9日~2023年5月31日)。皆さまからたくさんの温かいご支援をいただき、本当にありがとうございました。お寄せいただきました救援金は、赤十字の救援活動のほか、中長期的な復興支援にも役立ててまいります。

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日本赤十字社の支援

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トルコでの支援

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救援最初期から大規模に展開された、トルコ赤による食料支援。日赤は連盟緊急アピールを通じて資金援助を実施。©IFRC

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日赤が支援する、コンテナキャンプでの地域保健活動の様子。この日は子どもたち向けの衛生教育にて手洗いの大切さをレクチャー。©TRCS

20240322-07e9eea3d1244ee467b9d14b59623d1f2e843365.pngクアラルンプールの倉庫からトルコに運ばれる日赤の救援物資。毛布1万枚、飲料水用の容器5,000個、ブルーシート1万枚、キッチンセット2,000個をトルコに寄贈。©IFRC

20240322-7a247d3722f17846215b105cc2aef68287f0b63d.JPG    現金給付支援の一環として被災者に配付されたスーパーマーケットで使えるバウチャー券。日赤は連盟緊急アピールを通じてこれらの現金給付支援に資金援助を実施。©TRCS

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シリアでの支援

20240322-817b6feb0af9855484693456d4b4e2ca947175e4.jpeg毛布など支援物資を被災者に届ける準備をするシリア赤新月社スタッフ。日赤からの支援も連盟の緊急アピールに対する資金援助を通じてシリア側の被災者にも届いている。©SARC

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アレッポで水を配付するICRCとシリア赤新月社職員。日赤はICRCアピールに対しても資金援助を実施。©ICRC
20240322-03db5585c21a1f1e1af66f2cad0d74062039dbdd.jpg巡回診療車内の様子。日赤は、今回の地震を受けて震災以前より継続的に支援してきたこの活動への支援の拡大を決定。©SARC Gix8rA1WIAAHXkq.jpg身体障がいのある人びとに対して、訪問リハビリやケアセンターなどを通じた支援を続けている。©SARC
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日本赤十字社からの人的貢献

2023年
2月26日

トルコへ医師・看護師・こころのケア要員からなる医療調査団を派遣

現地の保健医療ニーズおよび日赤の支援拡大の可能性を調査。

20230417-a5d7d5ae1534ed33ea913f9ff9c7b265a6ac6f08.JPG日赤医療調査団と、震源地付近のカフラマンマラシュ県で出会った子ども

2023年
3月15日

シリアへ医療ロジスティクス要員として薬剤師を派遣

複数の赤十字社からなる巡回診療緊急救援チーム(ERU)に薬剤師を派遣。
あわせて医薬品等1.3トンを提供。

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巡回診療車両内で現地看護師と医薬品準備を進める日赤薬剤師

2023年
4月20日

シリアへ国際赤十字保健医療コーディネーターとして看護師を派遣


シリア赤の保健医療全般の活動を指揮・サポートし、他団体との調整も行う。

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シリア赤新月社の現地スタッフと話し合う日赤看護師

2023年
5月22日

シリアへ医療ロジスティクス要員として薬剤師を派遣

複数の赤十字社からなる巡回診療緊急救援チーム(ERU)に薬剤師を派遣。

Photo from Asuka_MedLog-ERUsyria(SitRep13original).jpg被災地の子どもたちと触れ合う日赤薬剤師

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加えて、トルコ・シリア両国に連絡調整員を継続的に派遣し国際赤十字との連携を行っています。

動画・写真・データで見る活動

【トルコ側の被災地に連絡調整員として派遣された日赤職員による、発災およそ3週間後の現地からのリポート】(約3分)

【巡回診療を支援する日赤薬剤師による、発災およそ半年後のシリアからのリポート】(約4分)

【発災半年に合わせて開催したオンライン写真展

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【トルコ・シリア地震から1年 ~寄り添い、支える赤十字の活動~】(約4分)


【発災後1年間の救援活動報告】

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トルコ・シリア地震から1年。赤十字の救援活動報告。(6.4 MB)

【発災2年 連盟シリア保健要員へのインタビュー】(約7分)

トルコ・シリア地震赤十字救援活動オンライン報告会

現地の状況と赤十字の支援活動をお伝えするため、オンライン報告会を開催しております。

2023年3月17日開催。発災から約1か月たった被災地の状況と現地派遣中の職員の活動をお伝えする報告会。

2023年8月2日開催。「トルコ・シリア地震 半年間の赤十字活動報告」

2024年2月6日開催。 「トルコ・シリア地震から1年 赤十字の活動報告会」

2025年2月6日開催。 「トルコ・シリア地震から2年 赤十字の活動報告会」

【速報/赤十字国際ニュース】トルコ・シリア地震における赤十字の対応等について

中東人道危機救援事業については、以下のリンクからぜひご覧ください。