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被災高齢者・障害者の公営住宅「井戸端長屋」が福島県相馬市に完成

12/08/29

 震災で独り身になった高齢者や障害者が半共同生活を送る災害公営住宅「井戸端長屋」が福島県相馬市に完成し、8月8日、竣工式を迎えました。日本赤十字社は台湾赤十字組織からの海外救援金を元に建設費の一部を支援しており、式には大塚義治日赤副社長や台湾赤十字組織の王清峰(ワン チンフォン)会長らが出席。東日本大震災における日赤の復興支援事業として初めてとなる恒久住宅の完成を喜びあいました。
 昨年の震災で全棟数の3割以上が損壊などの被害を受けた相馬市。「井戸端長屋」は、被災高齢者らの孤立・孤独化を防ぎ、地域コミュニティーを再構築することが目的で、年度内に市内4カ所への設置が予定されています。

 今回、馬場野山田団地に完成したのがその第一号。内部は2DKバス・トイレ付の個室12戸と、食堂や洗濯スペース、サンデッキなどの共有エリアからなり、プライバシーを保ちながらも、入居者同士が自然と顔を合わせる設計になっています。また、全館が手すり、車いす用トイレを配備したユニバーサルデザイン・バリアフリーになっており、軽度の要介護状態まで対応できるほか、ボランティア活動に適したスペースも用意。入居者が孤独にならないよう「昼食は一堂に会して取る」などの工夫も取られます。


 日赤が「井戸端長屋」4棟の総工費6億6千万円のうち約1億円を拠出したのは、海外救援金を寄せてくれた台湾赤十字組織の意向によるもの。竣工式で王会長は「大規模災害の対応で特に配慮されるべき高齢者を支援できてうれしく思います」と述べ、厄を払い長生きできるという縁起物の素麺を贈呈しました。大塚副社長も「海外救援金を通じて、今後も地元の復興を支援していく」と強調しています。

 台湾赤十字組織からの海外救援金は約67億円に上り、そのうち約50億円は今回のように使途が指定されています。今後も、その支援金を財源とした病院(宮城県南三陸町)、住宅・集会場(岩手県大槌町)などが順次完成する予定です。