12/03/16
東日本大震災による患者増で病床の不足が続いていた宮城県・石巻赤十字病院(飯沼一宇院長)にこのほど、鉄骨2階建ての仮設病棟が増設されました。日本赤十字社が海外救援金を財源に行う医療インフラの復興・整備の一環です(※)。平成24年2月28日に開所式を行い、3月1日から運用を開始しています。
震災で多くの病院・診療所が被災した石巻医療圏(石巻市、東松島市、女川町)にあって、唯一、緊急・重症などの急性期医療に対応できるのが石巻赤十字病院です。そのため、402ある病床は常に満杯、被災地での救急患者の受け入れに支障が出ていました。こうした中、石巻赤十字病院が掲げる「断らない救急」を守っていくため、病棟増設が決まったものです。
(写真:完成した石巻赤十字病院の仮設病棟)
敷地内の駐車場に設けられた仮設病棟は延べ床面積2880平方メートルで、2階が病床(50床)とリハビリ室、1階には会議室や災害に備えた救護資材倉庫を完備しています。病棟看護師長の今野律子さんは、「仮設ということを忘れるくらい良い看護サービスを患者さんに提供していきたい」と意気込みを見せています。
開所式には、亀山紘市長や石巻市医師会の舛眞一会長ら関係者約100人が参列。ともに石巻医療圏を支える石巻市立病院の伊勢秀雄院長も出席し、「日赤病院との協調の中で、切れ目のない医療体制を整備していきたい」と語ってくれました。
石巻赤十字病院では、平成27年度に、さらに救急医療や重症治療を強化するための新病棟の建設や、災害医療の研修・訓練を行う「災害医療総合センター」の整備を計画しています。仮設病棟は新病棟が完成するまで、被災地での医療サービスを守るために使用される予定です。
(写真:仮設ながらも明るく快適な病室)
※日赤の医療インフラの復興・整備事業
平成23年12月の石巻市夜間急患センター開設を皮切りに、女川町立病院の再建や南三陸町の仮設診療所整備、気仙沼市立本吉病院の改修などを進めています。