13/02/19
クウェート政府から日本政府を通じて日本赤十字社に託された500万バレルの原油代金(約400億円)は、岩手、宮城、福島の被災3県の復興支援事業に充てられています。
宮城県石巻市のノリ養殖業の再生もその一つです。漁業協同組合に860万円の支援金が贈られ、養殖に必要なノリの種の購入に役立てられました。
「津波で家も工場も船も流されて、“人生終わった”と思いました」
昨年秋から養殖を再開しているノリ業者の南部武彦さん(46歳)は、災害発生直後の衝撃をこのように振り返ります。折しも収穫が好調な時で、1カ月に1000万円分のノリが採れそうだと期待していた矢先だったといいます。もう転職するしかないと考えていましたが、同じノリ業者の仲間たちの説得と行政の補助金制度などに後押しされて、再起を決めました。
震災前は21、2軒あったノリ業者のうち、養殖を再開できたのは南部さんを含め16軒。クウェート政府の支援で購入した種は彼らが共同で使っています。この日の南部さんの収穫量は約3トンで、少ない方だといいますが、東日本大震災の津波で海がかき回されて栄養がよくなり、全体的に収穫状況は良くなっているという皮肉な追い風もあるとか。南部さんは「私の場合、まだ60%の復興というところかな。自分の工場が完成する来シーズンには“達成した!”と感じられるのだと思う」と展望を語ってくれました。