動物にかまれた・ 蜂に刺された
咬創(動物にかまれたきず)に対する共通の手当
動物(ヒトも含む)の歯は不潔なので特殊な病気ばかりでなく、一般の感染にも注意する必要があります。
- どんなに小さなきずでも、石けんを使って水でよく洗います。きずの周りも唾液がついているところはよく洗い流します。
- 清潔なガーゼを当てて包帯をします。
- 動物などによる咬創は化膿しやすく、動物が病気に感染していることもあるので、必ず医師の診療を受けるようにします。
イヌにかまれた
するどい歯でかまれると、深いきずや裂ききず(裂創)ができ、こどもがかみ殺された例もあります。
イヌにかまれると、すぐ狂犬病を心配しますが、現在、わが国では狂犬病の発生はありません。しかし、狂犬病流行国を旅行中に感染したり、流行国から短時間で航空機によって運ばれたペットから感染する危険はあります。
狂犬病流行国などでイヌなどにかまれた事案があれば、できるだけ早く医療機関でワクチンを接種するようにします。
狂犬病ウイルスは、必ずしもイヌばかりでなく、ネコ、キツネ、オオカミ、スカンクなどによっても感染します。
注意事項
- 感染の危険があるので、必ず医師の診療を受けさせます。
- 飼い主のわからないイヌのときには、イヌの特徴などを保健所に届けて、捕獲してもらいます(2週間イヌを隔離して観察します。狂犬ならば発病して死に至ることもあります)。
ネコにかまれた
ネコにひっかかれたり、かまれたりした数日から数週間後に、きず口の周囲に赤紫色の隆起、リンパ節の痛みや腫れ、発熱がみられることがあります。これは、猫ひっかき病といって、特定の細菌がネコノミからネコ、人に感染する人畜共通感染症で、夏から初冬に多く発生します。
注意事項
- リンパ節の腫大や発熱は、他の病気でもみられる症状ですが、発熱が続くようなら、必ず医師の診療を受けるようにします。
ヘビにかまれた
普段から、無毒と有毒ヘビの見分け方を知っておくとよいのですが、とっさの場合、区別がつかないことが多いです。日本での毒ヘビは、マムシ(北海道から九州)、ハブ(沖縄、奄美諸島)、ヤマカガシ(本州、四国、九州など)です。
マムシやハブは、かまれると10分前後できず口が腫れてきます。痛みが起こり、適切な応急手当をしないと全身状態が悪くなり死亡する危険があります。
ヤマカガシにかまれたときは、数時間くらいたった後で、きず口から出血し、歯茎や皮下、内臓、粘膜からも出血するのが特徴です。毒液が直接目に入ると失明することがあります。
野外活動やキャンプなどでかまれないようにするため、なるべく長ズボン、長袖、厚手の靴下、手袋をつけ皮膚を露出しないようにしましょう。
また、ヘビは湿った陽の当たらない場所を好むため、倒れた枯木、岩かげ、川や沼に近い草むらなど、じめじめしたところでの作業には特に注意が必要です。
手当
- 急いで医療機関に搬送します。(毒ヘビの場合、血清の投与など適切な治療をしないと、死亡する危険があります。)
- 安静にします。手足を曲げ伸ばしたり走ったりしないようにします。
- ヤマカガシなどの毒液が目に入ったときには、すぐに水でよく洗い流します。(ただし、水で洗っただけでは、毒は取り除けません)
- ヘビの毒素により脱水症状を起こしやすいので、水分を与えます。
- かまれたきず口に口をつけて吸い出すことは、推奨されません。
ハチ(スズメバチ、アシナガバチ)に刺された
ハチに刺されると痛みと腫れが起こり、ハチ毒に過敏な人は、一匹に刺されてもショック状態になったり、呼吸停止を起こし死亡することがあります。
手当
- 医師の診療を受けさせます。
- 針が残っているものは、根元から毛抜きで抜くか、横に払って落とす(針をつかむと、針の中の毒がさらに注入されることがあります)。
- 冷湿布をします。