11/04/29
偏見は正しい情報がないところから生まれ、人の心を傷つけます。
福島県に派遣された緊急被爆アドバイザー 沖田 肇 医師(広島県赤十字血液センター所長)らが、報道機関を対象とした「放射線の基礎知識セミナー」を開催しました。
沖田医師は、自身が3歳のときに広島に原子爆弾が投下されました。黒い雨に濡れたトマトを、洗って食べた遠い記憶があるそうです。そのときに、広島の人たちを苦しめたのは差別や偏見です。広島出身というだけで、好きな人と結婚ができなかったという65年前の心の傷に、いまだ涙する人がいるのです。
人の心を傷つけたり、あらぬ偏見を生まないため、報道機関の関係者に、日赤の持つ情報を共有しませんかと呼びかけたところ、8社から16人が参加され、2時間に渡り意見と情報を交換しました。人が人の心を傷つけるという、最も悲しい出来事を、共に予防できる機会となりました。
「原発の復旧作業を行っている人たちや、一度に大量の放射線を浴びた人たちへのフォローは重要です。しかし、現在の危険区域以外の微量な放射線に対して、過剰に反応する必要はありません。放射線が子どもへ遺伝することはありません。」と沖田医師は言います。
私たちにいま必要なのは、人を思いやる心と、傷ついた人たちへの優しさです。日本赤十字社では、みなさんとともに、被災された方の心のケアに取り組んでいきます。