11/03/23
われわれ救護班は3月11日(金)17時30分に出発。磐越道を通り、郡山から東北道に入りましたが、すぐに自動車道を下ろされて、一般道をサイレンを鳴らして走行しました。途中、津波による冠水のため引き返すということが2度ありました。新潟県中越地震や中越沖地震と比べると道路や住宅の損壊は比較的少なく、被害の大半は津波によるものという印象です。
(画像:冠水した道路)
翌12日(土)午前3時30分に石巻赤十字病院に到着。同病院は免震構造で自家発電が機能し、トイレの水も流れました。しかし、電気がついているのはこの病院のみで、市街地にある市役所、警察署、保健所などはすべて水没し、機能を失っています。
病院内では災害対応の導線やエリア設定が完璧にできあがっており、職員が懸命に働いていました。周辺の沿岸地域で唯一機能している病院として、時間経過とともによりあわただしい状況になり、ヘリポートには各機関のヘリコプターが救出された患者さんをひっきりなしに運んできます。
12、13日とも全国から10チーム前後の赤十字救護班が病院支援と巡回診療に入りました。被災地にとって最大の問題は13日になっても支援がまったくといっていいほど届いていないことと、通信手段が衛星電話のみで情報発信が困難であることです。宮城県の医療対策本部とたまに連絡がとれても十分な意思疎通が図れない状況で、無力感に襲われることもありました。
病院は全ての方を受け入れる姿勢で診療を行っていますが、当然収容能力は超えてしまっています。こうしたなか、仙台から透析患者さんがヘリ搬送されてくるといった信じられない事態も起こりました。
13日昼の時点で重篤な患者さん100人近くを受け入れました。その多くが低体温で、通常の地震災害の症例とはまったく異なります。今後、後方搬送をスムーズに行うことが課題になると思われます。
周辺避難所の巡回診療も始まっているものの、アプローチできていない避難所もまだ多数あります。2日間飲まず食わずで、急性ストレス障害と思われる言動もみられます。心のケアを早急に行うことが必要です。
石巻赤十字病院職員の疲労は限界に達し、職員の心のケアも必要です。
(写真:次々と患者の治療にあたる)