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東日本大震災活動レポート

ボランティア

赤十字広報特使(女優・藤原紀香さん)の活動(12)近衞社長と紀香さんが被災地訪問

14/03/19

 日本赤十字社の近衞忠煇社長と赤十字広報特使の女優・藤原紀香さんが福島、岩手、宮城の3県を訪問。海外救援金を活かした復興支援の状況を確認するとともに、被災地の皆さんと交流しました。2011年3月、近衞社長は震災2日後から宮城県石巻市や岩手県大槌町などに入り、いち早く被災状況を把握して世界に発信しました。藤原さんは同年4月中旬に福島・宮城を訪れて以来、被災地訪問を精力的に継続。今回で9回を数えました。

居住制限区域等になっている双葉郡浪江町に入り、同町の渡邉副町長から、被災当時の様子や現在の状況について説明を受けました

福島の現状を世界に発信し続けて

 原発事故によって約2万1000人が県内外に避難している福島県浪江町は、現在も半壊した家屋が放置されたままとなっているなど、震災時から変わらないが光景が広がります。
 町民の帰還をめざして35人の職員がインフラ復旧に当たっている町役場で、渡邉文星副町長から「この現状を深く見つめ、全国に発信してほしい」との要望を受けた近衞社長は大きくうなずきました。このあと東京電力福島第一原発が間近に見える請戸地区を視察。津波で大きく破壊されたままの建物や、道路脇に設置された放射線量モニターが示す数値を見ながら、「福島で何が起きたのか、何が起きているのかを、引き続き世界に発信していきたい」と語りました。
 一方、紀香さんは二本松市内にある旧平石小学校仮設住宅を訪ねました。浪江町民が避難生活を続けるこの仮設住宅には2012年11月以来、二度目の訪問です。藤原さんは「また来ましたよ、その後いかがですか」と声をかけながら、住民の皆さんとフラワーアレンジメントや踊りなどで交流しました。

(写真:居住制限区域等になっている双葉郡浪江町に入り、同町の渡邉副町長から、被災当時の様子や現在の状況について説明を受けました(c)Ichigo Sugawara)

生徒から体験発表を聞く近衞社長と紀香さん。心温まる交流が生まれました

震災の経験を胸に看護学生らが旅立ち

 津波による人的被害が最も大きかった宮城県石巻市。市内を一望できる高台、日和山公園を訪れた近衞社長と紀香さんは、津波で流された缶詰工場を昨年再建した木の屋石巻水産の木村長努社長から市内の復興状況などを聞きました。
全国からの応援に支えられて震災前の8割程度まで操業できるようになった木の屋石巻水産。藤原さんは「工場再開は地元の人たちにとって希望の光。ここに来るたびに風景が少しずつ変わっていますが、先はまだ長いようです。これからも東北のことを、全国に伝えていきます」と決意を語りました。

 孤立した避難所で学生と教職員が救護活動に力を尽くした石巻赤十字看護専門学校も訪問しました。迎えたのは震災のために2カ月遅れで入学し、間借りや仮校舎での授業を続け、一週間ほど前に看護師国家試験を終えたばかりの3年生たちです。近衞社長や藤原さんの激励に、岩手県陸前高田市で被災した佐々木雄飛君は「震災を通して、いのちの尊さと助け合うことの大切さを強く感じました。この経験とやさしさを忘れず、患者さんに接していきます」と瞳を輝かせました。

(写真:生徒から体験発表を聞く近衞社長と紀香さん。心温まる交流が生まれました)

紀香さんもつみれ汁を堪能。「おいしいですね」と話すなど、住民の皆さんとともに安らぎのひと時を過ごしました

世界の支援受けた子どもたちの笑顔

 岩手県では、海外救援金を財源に体育館建設を支援した赤崎中学校を訪ねました。校舎が2階まで浸水するなど大きな被害を受けたため、高台の仮設校舎で生徒たちは学んでいます。雪が降ると、スクールバスが学校までの坂道を登れなくなるため、下の道から歩いて登校するといいます。
 「赤崎中学校スマイル体育館」という愛称を持つ体育館は、体育の授業や部活動、学校行事などで活用されています。体育の授業に飛び入り参加した紀香さんと近衞社長を前に、2年生の氏家彩乃さんが「他の中学校に間借りしていた時には、体育も部活動も思うように活動できませんでした。でも支援によって、今は伸び伸びと学校生活が送れます」と、世界中からの支援に感謝の言葉を述べました。
 また、71世帯が暮らす地ノ森仮設住宅団地では大船渡赤十字奉仕団による炊き出しに参加しました。紀香さんが「熱いから気をつけてね」と声をかけながらサンマのすり身汁を振舞うと、「本物の紀香さんに会えて幸せだー。とても楽しみにしていなんだよ」とおばあちゃんは満面の笑顔。紀香さんも「これからも東北に寄り添い続けます。4月にまた来ますよ」と笑顔で応えていました

 日本赤十字社は赤十字広報特使の藤原紀香さんとともに、被災地に寄り添った支援をこれからも続けていきます。

(写真:紀香さんもつみれ汁を堪能。「おいしいですね」と話すなど、住民の皆さんとともに安らぎのひと時を過ごしました)