社長メッセージ

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清家篤社長 ごあいさつ

支援者お一人お一人の気持ちを大切に

 皆さまには日頃から、日本赤十字社の活動にご理解とお力添えを賜っておりますことに、心より御礼を申し上げます。

 日本赤十字社の前身である博愛社は、1877年に創設されました。それ以来、今日に至るまで、多くのボランティアの皆さまをはじめ、全国の支部・施設の職員は、人々のいのちと健康、尊厳を守るとの理念のもと、日本赤十字社の総力をあげて活動をしてまいりました。

 この歴史のなかで、今年は192391日に発生した関東大震災から100年の節目にあたります。当時の日赤の活動について、中央防災会議の「災害教訓の継承に関する専門調査会報告書」は「戦時医療だけでなく災害医療においても明治21年の磐梯山噴火以来の経験を持つ日赤ゆえのこと」と高く評価しています。この伝統はその後の阪神淡路大震災や東日本大震災等における日本赤十字社の活動にも受け継がれています。

 こうした理念や伝統を踏まえつつ、様々な面で大きく変化する社会経済のもとにおいてもその使命を果し続けていくために、日本赤十字社では創立150年を迎える2027年に向けての長期戦略、行動指針等を示した「日本赤十字社長期ビジョン」を策定いたしました。2023年度からは同ビジョンに基づく第二次中期事業計画がスタートします。本計画においては、特に重点的に取り組む事業・横断的テーマを設定し、「グループとしての総合力を発揮した大規模災害への対応」、「気候変動に対する取り組みの強化」、「新型コロナウイルス感染症対応の経験を踏まえた新興感染症への対応」、「人口構造変化に対応した持続可能な事業」、「経営基盤強化の取組」等を目指すこととしております。

 2020年初頭以来のCOVID-19によるパンデミックへの対応において、日本赤十字社はその総力を挙げて取り組んでまいりました。横浜港に着岸したクルーズ船への医療救護班の派遣に始まり、その後に続く厳しい状況の中、全国の赤十字病院、血液センター、社会福祉施設、それらを支援する各支部において、職員一同懸命に奮闘を続けています。また、近年頻発する大雨・洪水などの自然災害への救護活動には、職員はもとより、ボランティアの皆さまにも、大変な状況下でご尽力いただいております。誠に頭の下がる思いであり、またこの間、皆さまから賜りました励ましの言葉や様々なご支援にも、改めて御礼を申し上げたいと思います。

 目を海外に転じますと、ウクライナでは紛争による甚大な人道危機が発生しています。またトルコとシリアで発生した地震災害は、東日本大震災を凌ぐ犠牲をもたらしました。赤十字の国際機関や各国赤十字社・赤新月社は連携して、そうした人道危機を救うべく全力を挙げて取り組んでいます。日本赤十字社も、この人道危機に対し、人命を救い、あるいは人々の市民生活を守るために、物資支援や避難民の方への生活支援、医療支援等を展開しています。

 こうした赤十字の活動は、多くの皆さまからの会費やご寄付によって支えられています。皆さまから赤十字にお寄せいただくご支援は単なる「お金の流れ」ではなく、温かく、ときに熱い思いのこもった、皆さまの「お気持ちの流れ」です。皆さまからのお気持ちを大切にして、赤十字活動をさらに推進してまいります。今後とも引き続き力強いお力添えを賜りますようお願い申し上げます。

せいけ・あつし◎ 1954年生まれ。1978年慶應義塾大学経済学部卒業、博士(商学)。慶應義塾大学商学部教授などを経て、2009年から2017年まで慶應義塾長、2017年慶應義塾学事顧問。現在、労働政策審議会会長、全世代型社会保障構築会議座長なども務める