バングラデシュ南部避難民※支援:日赤チームの声

 赤十字では、9月から緊急支援を継続しています。日赤ERU(緊急対応ユニット)チームの一員として派遣された岡田遥平医師(京都第二赤十字病院)と喜田たろうチームリーダー(大阪赤十字病院)が62万人を超える避難民の支援活動を振り返ります。

※国際赤十字では、政治的・民族的背景および避難されている方々の多様性に配慮し、『ロヒンギャ』という表現を使用しないこととしています。

子どもが多い!(岡田医師)

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乳児を診察する岡田医師(京都第二赤十字病院)

 とにかく子どもの数が多い!というのが第一印象でした。巡回診療では、幼い兄弟だけで受診することも。子どもたちの中には、故郷の村や避難の途中で恐ろしい経験をしたり、それを見聞きしたりしているにも拘らず、厳しい環境の中でもよく遊んでいる姿を見て、単純にたくましいな、と思いました。広場があればボールを蹴り、水場では泳ぎ、元気いっぱいな姿に、こちらが力をもらう思いがしました。

「救えなかったいのち」もどかしい想い

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空き地で凧揚げを楽しむ子供たち。診察の合間に立ち寄ることもありました。

 助産師、看護師などと行った巡回診療の中では、厳しい現実を目の当たりにしました。ある日、出産したばかりの赤ちゃんの様子を見てほしいと連絡があり、そのご家庭のテントに行ってみると、1,300グラムの双子の赤ちゃんと栄養失調でやせ細ったお母さんがいました。赤ちゃんは哺乳が出来ておらず、低体温も心配な状態で病院への入院を勧めました。しかしお母さんは言いました。「夫は仕事があり、他の子どもも多く、私が入院すれば家庭が立ち行かない。また私達には出産後1週間は外出しないという習慣があり、病院には行けない」残念なことに、私の目の前で双子のうち一人の赤ちゃんは亡くなりました。また、もうお一人の赤ちゃんも後日の巡回診療で亡くなったことが分かりました。ご家族の悲しみは深く、グリーフケアを行い、巡回診療を終えました。妊産婦の栄養失調はこのお母さんに限らず、多く見受けられました。栄養失調や脱水症状から母乳が出ず、哺乳出来ないなどの例も多くあります。
 もう少し早く介入できていれば・・・、お母さんがもう少し栄養を取れていたら・・・、あきらめざるを得ない状況をもどかしく思いやりきれない気持ちになりました。

地元の資材を活かして手作りしました

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ペットボトル吸入器

 医療を提供していく中では、日本のように必要な資材をすぐに手配できないこともあります。そんな時はいかに地元で手に入る資材を活用するか、チームで工夫しています。例えば、現在避難民の方に多い呼吸器疾患。処方される吸入器の数が足りなくなった時です。急きょペットボトルで代用品を手作りし、対応しました。また、骨折時に使う添え木もキャンプで手に入りやすい竹を使って代用したこともあります。

赤十字として総合的な支援(喜田チームリーダー)

 今回特に、チームリーダーとして心がけたこととしては、地元の赤十字社であるバングラデシュ赤新月社、そして海外からの支援各社と国際赤十字間の積極的な連携でした。
 保健医療分野では、病院ERU(緊急対応ユニット)を運営するノルウェー赤十字社を始めとして、日赤と同じく巡回診療を行うイタリア、カナダ、ドイツの各赤十字社、そして診療所を開設予定のイラン赤新月社が活動しています。各国赤十字社との積極的な情報共有を図り、新しく巡回診療活動に参加した社へのブリーフィングの実施、国際赤十字として標準化されたレベルの高い医療サービスの提供を目指しています。
 また保健・医療以外にも給水や衛生、救援物資配布など様々な分野で多くの赤十字社が活動を行っています。ひとつのチームだけでは、広大な避難民キャンプに生じる多様なニーズに対応することはできません。それぞれの赤十字社の特色や専門性を活かして、国際赤十字としての総合的な支援を目指しています。

避難民は1週間に2,000人増加し続ける

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聞き取りを行う喜田チームリーダー(左)(大阪赤十字病院)

 私はこれまでに、ケニア(地域保健事業)、東ティモール(赤十字社組織強化)などのほか、パキスタン洪水、ハイチ地震(コレラ禍)などの自然災害対応にもあたった経験があります。災害救援の場合、救援期から復興期への流れは大まかに目途をつけて活動を計画することが出来ますが、今回のような人道危機の場合、この先がどうなるか予測が立てづらく、そこに難しさを感じました。
 避難民の数は、11月26日から12月4日までの一週間で2千人増えている状況であり、増え続ける避難民を受け入れるために、キャンプも外側へ拡大を続けています。すでに長期間避難民が暮らす地域では、最低限の支援体制は確立されつつあり、避難民が運営する商店が立ち、理髪店や軽食店などもありました。しかしながら、新しく流入してくる避難民が住むことになる地域にはトイレや排水といった衛生環境もなく、まさにゼロからの立ち上げという状況です。これから気温が下がる時期でもあり、健康を害するリスクが高いと懸念しています。

避難民の数は今もなお増加しており、その数は62万6千人に上ります(12月4日国連発表)。先が見えない避難生活が続く人々のニーズに応えるため、今支援の手を止めるわけにはいきません。

日本赤十字社は来年3月まで医療チームを派遣する予定です。
ぜひ皆様の温かいご支援をお願いします。

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日本赤十字社 パートナーシップ推進部 海外救援金担当
TEL:03-3437-7081 FAX:03-3432-5507

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