新型コロナウイルス感染症に対する国際赤十字の動き

インフォグラフィック

国際赤十字・赤新月社連盟は啓発のためにインフォグラフィックを作成。各国の言語に翻訳され拡散されている。

世界中で流行が拡大している新型コロナウィルス感染症に対して、世界保健機関(以下、WHO)はパンデミック(世界的な大流行)を宣言し、世界各国で感染予防や感染の拡大を防ぐための様々な対策が取られているところです。

150を超える赤十字・赤新月社においても、この未曽有の人道的危機に対して各国の実情に合わせた形で様々な活動が展開されています。

赤十字の「連帯」:脆弱な環境に置かれた人々に確実に支援を届ける

この世界的な危機に対して、3月下旬に国際赤十字・赤新月社連盟(以下、IFRC)と赤十字国際委員会(以下、ICRC)は各国赤十字社に対して共同声明を出し、国際赤十字・赤新月運動全体としてどのようにこの危機に取り組むべきか、その方向性を確認しました。

共同声明の中では、このような状況下だからこそ、人道、世界性、公平、奉仕の原則の下に、赤十字全体が連帯して立ち向かうことの必要性が述べられ、特にIFRCは感染症対策に関して全ての赤十字・赤新月社を支援する責任があること、ICRCは武力紛争や暴力行為の状況にかかる活動に焦点を当てて支援を展開すること、また、各国赤十字・赤新月社は国の保健当局と共同でその国の文脈に沿った活動を展開していくことが確認されました。世界の赤十字全体で8億スイスフラン(約880億円)の資金援助を要請しています。

また、赤十字として私たちが忘れてはならないのは、このような世界規模の感染症という危機の中でも、気候変動の影響で干ばつや洪水があったり、難民・避難民問題などは存在しており、そのような環境下にいる脆弱な人々が特に影響を受けるということです。赤十字の連帯感をもって支援が必要な人々に真っ先に手を差し伸べることが必要です。

各国における赤十字・赤新月社の活動

感染の予防啓発活動:地域に住むボランティアを中心として、感染予防のための正しい知識を広めたり、感染予防に向けた備えを進めています。もともとその地域を理解しているボランティアの方々だからこそ、地元の人々に広くよりわかりやすくメッセージを伝えることができます(左下:バングラデシュ南部の避難民キャンプでは、ボランティアが身の回りを清潔に保つ方法が描かれたリーフレットを各家庭に配布©IFRC 右下:布マスクの作り方を学ぶタイ赤十字社のボランティア。作り方は支部を通じて配信された©Thai Red Cross)

リーフレットを各家庭に配布
布マスクの作り方を学ぶタイ赤十字社のボランティア

感染拡大を防ぐための活動:感染拡大を防ぐために、手指の消毒を手伝ったり、物資の支援をするなどボランティアやスタッフが活躍しています。(左下:ナイジェリア赤十字社のボランティアが、消毒用アルコールで人々に手の消毒を促している©IFRC、右下:イタリア赤十字社のボランティアが、自宅待機や隔離対象の人々に薬や食料を届けている©Italian Red Cross)

人々に手の消毒を促している
自宅待機や隔離対象の人々に薬や食料を届けている

その他にも、救急車での患者さんの搬送や、病院における医療活動、感染者や隔離者に対するこころのケア電話相談など、最前線で活動するスタッフ・ボランティアは世界中にいます。彼らの健康と安全を守るのも、国際赤十字・赤新月運動全体の責任です。

社会的偏見 "Social Stigma"の防止

インフォグラフィック2

「偏見ではなく連帯感を」と訴えるIFRCのインフォグラフィック。

また、感染症の拡大により、偏見や差別が広がることも、私たちは危惧しています。2014年の西アフリカのエボラウイルス病のときは、 多くの赤十字スタッフやボランティアが予防啓発やご遺体の埋葬など活動に従事しましたが、活動終了後に元の職場に戻れなかったり、村で迫害を受けるなどの差別を受けました。

IFRCは、WHO、ユニセフと共同で社会的偏見にかかるガイドライン "Sociall Stigma associated with COVID-19"を作成しました(日本語訳はこちら.pdf)。感染症が広まる際にどうして差別や偏見が生まれるのか、そしてどのようにそれを防ぐことができるのか、ぜひご覧ください。

また、日本赤十字社も人々の不安や社会的偏見を題材とした「新型コロナウイルスの3つの顔を知っていますか?」をリリースしました。日本赤十字社のホームページまたは下記バナーからご覧いただけます。

赤十字はこれからも、世界全体で新型コロナウイルスの危機に立ち向かっていきます。

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