ルワンダ2国間事業 救急法講習会で再開~ボランティアの声とともに~  

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救急法講習会の様子。講師のガテリさんも経験豊かなルワンダ赤十字社のボランティアです。

 2019年12月、日本赤十字社(以下、日赤)はルワンダで2国間事業を開始。しかし新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)はルワンダにも広がり、2020年3月中旬、ルワンダ政府は国境を封鎖し、国内の移動を厳しく制限していました。ボランティアと住民との直接的なやりとりが強みである赤十字にとっては、地域での活動を縮小せざるを得ず、大変厳しい期間となりました。

 ようやく本事業が再開したのは、6月。7月には、ルワンダ赤十字社 以下、ルワンダ赤)がソーシャル・ディスタンスに気を付けながら、日赤との二国間事業地ギサガラ郡のボランティアに救急法講習を実施しました。本号では、一時帰国中の日赤ルワンダ現地代表部首席代表の吉田拓が、救急法講習会に参加しているボランティアとルワンダ赤現地職員に実施したインタビューの様子をお届けします。

 今回のインタビューの登場人物

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ジョジアーン・ウガリダさん (以下、ジョジアーン)

20代女性

ボランティア

農家の5人兄妹の末っ子。普段は家業手伝い。

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サイモン・デオジェーンさん (以下、サイモン)

30代男性

ボランティア

高校教師。2児の父親。

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ジャン・ダマス・ヌデブウォヘさん (以下、ダマス)

50代男性

ルワンダ赤現地職員

家族を首都キガリに残し、プロジェクトサイトのギサガラ郡に単身赴任中。

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インタビュアー

吉田 拓 (以下、吉田)

日赤ルワンダ現地代表部首席代表

■ 活動の担い手、ボランティアになったきっかけは

【吉田】みなさん、こんにちは!といってもこっちは夕暮れ時なんですが(注1)、いまそちらは何時ですか?
【サイモン】ランチタイムです!午前の講習が終わってから、お昼の時間にこのインタビューを受けに来ました(注2)。
【ジョジアーン】とてもいい講習を受けられており、満足しています!日赤の皆さん、救急法を学ぶ素敵な機会をくださり、ありがとうございます。
【ダマス】今日は、事業地のギサガラ郡からボランティア50人に来てもらっています。楽しく、熱気のある講習です。

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救急法講習会の様子。ソーシャルディスタンスをとりつつ、真剣に勉強しています。

【吉田】日赤と一緒にプロジェクトを実施してくださり、ありがとうございます!ボランティアのお2人はどんな経緯から赤十字でボランティアを始められたんですか?

【サイモン】まだ高校生だった15年前、赤十字ボランティアとして、低所得者向けの住宅建設をお手伝いしたのがはじまりです。

ジョジアーン】2018年に国会選挙があったときに、地域の投票所で救護所のボランティアをしたのがきっかけです。

【吉田】お二人とも、高校生のときから赤十字に関わっていらっしゃるんですね。地域の知り合いにも会って気恥ずかしいこともあるだろうし、ボランティアは楽なことばかりではないと思います。なんで今まで続けていらっしゃられるのか、教えていただけますか?

【ジョジアーン】始めてのボランティア体験は大変だったんですよ。投票所の救護スペースでアシスタントとして待機していたんですが、見たことのないくらい沢山の人が投票所に来るのを見て、びっくりしたのを覚えています。投票待ちの間に気を失ってしまう人がいて、投票所が騒然としたときは気持ちが張り詰めました(注3)。周囲にいる人に落ち着くようにお願いして、暴動にならないですみました。現地では警察とも協力していたんですが、無事に選挙が終わり、自分が地域の皆さんのために貢献できたと誇らしい気持ちになりました。

【サイモン】私は、家を建てる前後で、住民になった近所の方の生活が変わっていくのを見ることができたことが嬉しかったんです。家を持つことで誇りを持てて、気持ちが明るくなり、彼らの日ごろの振る舞いが変わっていくんですよ。より良い地域を作ることに貢献できたことに喜びを感じたことを覚えています。

■ COVID-19の中で活動するということ

【吉田】お二人とも、貴重な経験をされたんですね!COVID-19の影響で、ソーシャル・ディスタンスに気を付けるので、今まで慣れ親しんだ活動のようにはいかなくなっているとお察しします。COVID-19が流行している中で、皆さんが不便に感じていること、気を付けていることはありますか?

【ダマス】これまでのように、コミュニティで集会することができなくなっているので、バイク、三輪車や車にスピーカーを積んだ「モバイル・ラジオ」で、手洗い、マスク着用、ソーシャルディスタンスなどを啓発することに力をいれています。日赤には、ギサガラ郡でのモバイル・ラジオ活動を支援してもらっています。

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「モバイル・ラジオ」の3輪車バージョン。

田舎道でも大活躍です。

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「モバイル・ラジオ」の2輪車バージョン。

メガホンを搭載しています。

小回りが利くので、町や市場にも乗り込めます。

これを運転するのもボランティアの仕事です。

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「モバイル・ラジオ」の4輪車バージョン。

【サイモン】事業地であるギサガラ郡でボランティアを引き受けることになって、これから大変になりそうなことは何かといつも考えています。ルワンダでは感染者が増えていて、国境封鎖や外出規制をしていましたが、ギサガラ郡ではまだ感染者がいません(注4)。3月にルワンダ政府から外出規制が課せられたときは、抵抗感を感じたり、感情的になったりする人が多くて、コミュニティでソーシャル・ディスタンスの啓発活動をするのは大変そうだな、と思いました。今では、ルワンダ政府の政府広報やルワンダ赤の啓発活動の成果で、そうした不満は大分減ったとは思います。とはいえ、これから地域の皆さんと活動を進めていくときに、予想もしていない反応があるかもしれない、と思うようにしています。
【ジョジアーン】ボランティアの活動の中で、近所の皆さんに、マスクを着けて、手洗いをするようにお願いすることが大事な仕事になると思っています。ギサガラ郡に限らず、ルワンダではマスクを着けるのは医師と看護師だけ、と思い込んでいる人が多いので、気長に取り組んでいくつもりです。また、COVID-19のパンデミックに関わらず、家族計画や低所得者層の生活改善は、ギサガラ郡の根っこの問題だと思います。
【ダマス】人々の生活環境を改善すること、知識を広げていくことは、ギサガラ郡では特に重要になると思います。政府当局や我々赤十字がマスクを着けるように、と住民にメッセージを送っても、マスクを買ったり作ったりする余裕がないと、マスクを着けてくれるようにならないのではないか、と心配しています。また、ソーシャル・ディスタンスについても、事情が分からないと、不快になる受益者がいますので忍耐強く取り組むことが大切だなと思っています。
【吉田】皆さん、今日は貴重なランチタイムの最中に、インタビューにお付き合いいただき、ありがとうございました!

今回は、ボランティアと現地職員を通じ、現地の状況をお伝えしました。COVID-19が事業を実施するうえで大きな制約になっている一方で、ルワンダ社会に根深く残っている貧困問題に立ち向かおうとしています。これからも、彼らのようなルワンダ赤のボランティアが活動の最前線に立って、貧困や災害、感染症の脅威にさらされた地域の人々を支援し、こうした脅威に負けない村づくりに取り組んで行きます。ルワンダから再度お知らせできるその日まで、読者の皆さんもおからだにはお気を付けください!

(注1)ルワンダと日本の時差は7時間です。このインタビューは日本時間の午後7時に行いました。

(注2)皆さんとはスカイプでやりとりをしましたが、インターネット回線が弱いので、顔を見せず、声だけのやりとりです。

(注3)この時は2018年の下院議員選挙で、投票率は93.4%と、非常に多くの国民が投票所へ出かけたと記録されています。全国的に穏やかだったとされていますが、途上国の選挙の投票日は何が起こるか分からないので、高校生だったジョジアーンさんはさぞ不安だったろうと思います。

(注4)インタビュー実施時の7月中旬の情報です。現時点(8月31日)では、ルワンダのCOVID-19の累計感染者は4,020名、死者16名、1日のPCR検査数は約5,000件で、事業地のギサガラ郡で感染者は出ていません。

本事業が三つ折りパンフレットになりました

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日本赤十字社の新型コロナウイルスに対する活動はこちらをご覧ください。