災害多発国インドネシア~新たな日赤の二国間事業が始動~

日本赤十字社(以下、「日赤」)は、巨大地震の可能性が指摘される地域の「学校と家庭を軸に災害に強い地域づくりをしたい」という声に寄り添い、インドネシアで本年9月から新たな二国間支援を開始しました。本号では、この事業の背景や現地から寄せられている声を中心にご紹介します。

インドネシアは、過去20年間の災害死者数が日本の7倍

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学校で学校関係者に働きかけ、避難訓練や災害教育を学校行事に取り入れる@BPBA

インドネシアは、日本と同じ環太平洋火山帯に属する島嶼国であり、アジアの中でも自然災害が多い国の一つです。地震や洪水など、日本とも類似した災害が頻発し、2004年のスマトラ島沖地震・津波災害においても、死者22万人のうち、インドネシアの死者が13万人など被害が最大でした。

一方で、インドネシアは災害への備えが弱く、例えば、1万3千もの小さな島々から構成されるために被災地へのアクセスが困難です。ジャカルタなどの都市部に比べて農村部の公共インフラ整備は遅れており、政府の防災政策が策定されても、それを実行に移す地方行政機関の体制が弱いことも指摘されています。その結果、過去20年間の自然災害における死者数は18万8千人で、これは東日本大震災を含む日本の災害死者数のおよそ7倍に上ります。

そのため、日赤は、インドネシア赤十字社(以下、「インドネシア赤」)とともに、これまでもスマトラ島ベンクル州において防災ボランティアの育成や防災訓練の実施を通じて災害に強い地域づくりを支援してきました。

日赤は、過去の知見を活かして、2020年9月からインドネシア国内でも巨大地震などの災害リスクが高いジャワ島南部地域の2県(マラン県ケブメン県)において、新たな防災事業への支援を開始しました。この事業では、村落と学校の防災体制を強化することを目的に、災害時の避難経路の確保など世帯を中心とした防災普及活動や、学校での災害教育、防災訓練などに取り組みます。

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日赤の支援を受け、学校現場で子ども達に災害教育を行う防災ボランティア©PMI

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子どもたちに持続可能な災害教育を受ける機会を

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災害教育普及の必要性を訴えるマラン県支部事務局長エイプリル氏(右)©JRCS

私たちの暮らすマラン県は、将来的な巨大地震や最大12~20メートルの津波に直面する可能性が指摘されています。しかし、財政面などで制約があり、これまでは災害教育にかかる行政機関との具体的な連携や支部を起点とした災害教育の実施が極めて限定的でした。」インドネシア赤マラン県支部の事業を統括する事務局長のエイプリル氏は語ります。

「マラン県では、およそ1,200ある小学校のうち、35の小学校に赤十字サークルがありますが、災害教育は行き届いていません。防災訓練の実施や学校での災害対策を協議する場や体制が未整備などの課題があり、この地域では防災推進が急務となっています。子どもたちが災害を理解し、命を守るための知識や行動を身に付け、そして学んだことを家庭に持ち帰ってほしいです。そして家庭から地域へと防災の輪が広がることを願っています。」

災害時に孤立する私たちの村、家庭を軸とした防災普及を

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地域でできる災害対応や搬送方法を学び合う防災ボランティアと住民©PMI

「私たちのプジハルジョ村の30区(68世帯)は、中心市街から険しい山地を越え、車で3時間ほどの沿岸部にあります。2016年には小さな津波があり、洪水も多いです。大雨が降るたびに幹線道路は地滑りと洪水で通行ができなくなり、避難したくとも、眼前に広がる海だけになります。毎年、洪水で村は孤立しているのです。最寄りの診療所は遠くて車でしか行けません。」そう教えてくれたのは、同村に住むサフディさんです。

本事業では、村行政と協力して避難ルートの確保や自主防災組織の強化などを行うとともに、赤十字ユースボランティアが中心となって災害リスクや災害時の行動について、家庭内での普及に力を入れます。そして、災害時に孤立しがちな村が、外部からの支援に頼らず自分達の力で村人達のいのちと生活を守り、困難に立ち向かえることを目指します。「コミュニティの最小単位である家庭を切り口に、村々に防災を根付かせていきたい。」エイプリル氏はこう締めくくりました。

本事業はNHK海外たすけあいの寄付金で成り立っています。ご寄付いただいた皆様のお気持ちが地域の防災に役立てられます。ご支援に心より御礼申し上げます。

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