日本の皆様のご支援に感謝~ネパール地震復興支援事業報告~

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再建された小学校の明るい教室で笑顔をみせてくれた子どもたち©NRCS

2015年4月25日にネパールを襲った大地震。死者8,856人、負傷者22,309人、およそ560万人が被災し、60万世帯以上が全壊 という大災害の発生から、今年の4月で6年を迎えます。 日本赤十字社(日赤)は、発災後、直ちにネパールに向かい、各国の赤十字社と共に現地で奮闘するネパール赤十字社(ネパール赤)を支えながら、もっとも大きな被災郡のひとつであるシンドパルチョーク郡で負傷者の診療やこころのケアなどの緊急救援にあたりました。その後、日赤は、ネパール政府が目指す「より安全で、よりよい生活再建や地域復興(Build Back Safer and Better)」に基づき、引き続きネパール赤の指揮のもと、地震復興支援事業を実施しました。今号では、昨年末に終了した小学校再建事業を含め、復興支援事業全体を振り返ります。

小学校完成!「ずっと待っていたきれいな教室、広い校庭、嬉しいな!

 ダデューワ小学校再建事業は、困難の連続でした。被災直後のネパール赤は国内全14郡での多様な復興支援事業の管理で多忙を極める一方、ネパール政府は、首相が何度も交代するなど安定せず、学校建設について教育省からの承認がなかなか得られませんでした。ようやく工事が始まったのは、地震発生から4年近く経った2019年1月のこと。以降、雨期による中断をはさみながらも完成間近となった2020年3月、ネパールも新型コロナウィルスの影響を受け、全土でロックダウンとなりました。ネパール赤はコロナ対応以外の活動は全面的に一時停止を決定。その後、7月下旬に国内の移動規制が緩和されたことに伴い、少しづつ工事を仕上げ、ついに校舎が完成し、2020年12月28日にネパール赤から地方政府への引渡式が無事執り行われました。左下の写真はダデューワ小学校の仮設校舎(2017年8月)。雨期は雨音がうるさく、冬は寒さが厳しいです。右下の写真は耐震性の高い完成後の校舎です。男女別々でバリアフリーのトイレや給水設備も併設されています。

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土地を寄付した学校運営委員会のカル・タマン会長(右)とデュラル校長©NRCS

地震が発生して校舎が使えなくなってからは、トタン板で出来た劣悪な環境で授業を受けていた子どもたちは、明るく広々とした教室で安心して授業を受けられるようになりました。学校建設中に計画した学校防災計画も実施していくことが期待されます。引渡式に参加した児童は、「きれいな校舎、教室、広い校庭、それに安心して飲める水飲み場があって、嬉しいです」と笑顔で答えてくれました。また、同校で30年間校長を務めてきたビージェイ・デュラルさんは、このようにコメントを寄せてくれました。「長い間、この校舎の完成を待っていました。素晴らしい校舎を建ててくださった日赤とネパール赤の支援に感謝します。これからは、教育の質の向上を目指し、地域の子どもたちにとって魅力的な学校にしていきたいです。学校では今、英語教員を採用して、英語教育に力を入れています。」

震災前より安全でよりよい生活を

 日赤は、ダデューワ小学校の再建ほか、ネパール赤が進める本復興支援プログラムを通じて、2019年8月までに14地区の診療所の再建、被災者自らが主導して取り組む住宅やトイレの再建、給水・灌漑設備などコミュニティの生活に不可欠なインフラの補修や新設、被災世帯の生計向上のための研修や現金給付、被災者が災害から自立的に立ち直ることのできる強さ、すなわち「レジリエンス」を高めるための啓発活動などの支援事業を完了させ、対象地の「Build Back Safer and Better」に大いに寄与しました。
日赤の主な支援活動(2020年12月現在) 成果
住宅を再建した世帯数 1,676
トイレを再建した世帯数 1,514
補修・新設した給水設備数 20
上記給水設備により安全な飲料水を飲めるようになった世帯数 824
再建した診療所数 14
上記診療所で受診した住民数(2020年3月現在) 59,092
生計向上のための研修と現金給付を受けた世帯数 413
農業・畜産行改良のための研修を受講した世帯数 649
補修した灌漑設備数 8
上記灌漑設備を使う世帯数 1,856
ネパール赤シンドパルチョーク郡支部事務所建設数 1
血液関連資機材種類 41
 ネパール赤は、この歴史的な大規模災害で被災した人々を支え、被災地の復興に大きな役割を担いましたが、これからも地域での平時の防災・減災活動や、ネパール各地で毎年のように発生する洪水や地滑りなどの自然災害に迅速に対応することが求められています。そこで、日赤は、復興支援事業の一環として、ネパール赤の組織能力強化事業も支援し、ネパール赤の職員やボランティアを対象とした研修のほか、災害対応の拠点となるネパール赤シンドパルチョーク郡支部事務所の建設、そして、首都カトマンズに隣接するネパール赤バクタプール郡支部血液センターの血液事業の質の向上を目指し、国外から血液製剤製造のための資機材を輸入し、供与しました。これらの事業も新型コロナウイルスの影響による移動規制や国境封鎖のために、大幅な遅れが生じましたが、両事業ともに2020年12月末までに終えることができました。日赤のネパール地震復興支援事業は、ネパール赤からの各種報告書の提出をもって、2021年3月に終了となります。

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(左)ネパール赤シンドパルチョーク郡支部事務所。(右)シンドパルチョーク郡のネパール赤ボランティアを対象とした防災研修。
「発災からもうすぐ6年。長い道のりでしたが、赤十字の包括的な支援により、シンドパルチョーク郡をはじめとする被災地では、地震に強い住居が建ち、地震発生以前よりも安全できれいな飲料水が水道から汲めるようになりました。被災者がより安全でよりよい環境で安心して暮らすことができるようになったのは、ネパール赤が日赤をはじめとする各国の赤十字社のサポートを受け、大変難しいオペレーションを試行錯誤しながら諦めずに遂行したこと、そして、何よりも被災者自身が深い悲しみや苦難を乗り越えて、災害に強いコミュニティを自ら作ってきたからこそだと思います。 本ネパール地震緊急・復興支援事業の実施にあたっては、多くの方々にご寄付、ご支援をいただきました。ネパールの復興を願う皆さまの温かい想いは、ネパール赤や被災地の村人だけでなく、本事業に携わった日赤職員の大きな励みでもありました。この場をお借りして改めてお礼を申し上げます。」(日本赤十字社ネパール現地事務所元首席代表 五十嵐和代)

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