東日本大震災発災から10年
2011年3月に発生した東日本大震災発災からまもなく10年を迎えます。日本赤十字社(以下、日赤)は発災直後の緊急救援に続き、復興期の被災地支援として海外の各国赤十字・赤新月社を通じて寄せられた海外救援金を活用した復興支援事業、クウェート政府から寄贈された原油を原資とした基金の設置、義援金の受付及び配分への協力等を行ってきました。
各国赤十字・赤新月社を通じて寄せられた海外救援金による復興支援
東日本大震災に際して、日赤には100を超える国や地域の赤十字・赤新月社を通じて海外から総額601億4835万円に及ぶ多額の寄付金(海外救援金)が寄せられました。日赤はこの海外救援金を原資に東日本大震災の被災者と被災地に対して生活再建、社会福祉、教育、医療、原発事故対応、災害対応能力強化などの分野で復興支援事業を実施してきました。近年では気仙沼市市民福祉センター建設(2016年完成)、福島赤十字病院建設(2018年完成)、岩手県大槌町災害公営住宅整備事業(2019年完了)などの事業が完了する一方で、仮設住宅への滞在を余儀なくされていた6,000人以上の被災者を対象にノルディックウォーキング(約450回)やこころのケア活動(約800回)を継続してきました。さらには将来起こりうる災害に備えた防災教育活動などを実施し災害対応能力強化も図ってきました。最終年度である2020年度は新型コロナウイルス感染症の蔓延により、活動の実施に少なからず影響が出ましたが、復興支援事業は今年度で完了する予定です。
クウェート政府から寄せられた原油を原資とする基金
日本はクウェート政府から東日本大震災の被災者支援のため原油500万バレル(約80万キロリットル、約400億6,600万円相当)の無償提供を受けました。日本政府からの要請に基づき、日赤は岩手県・宮城県・福島県を支援対象とし寄付金を3県に送金しました。3県はこの寄付金を財源としてそれぞれ基金を設置し、地域基盤復興、医療、福祉・介護、教育、農林水産業、雇用の分野での支援の他、中小企業や原発事故被災者を対象にした支援を実施しています。基金を活用した具体的な事業の実施は各自治体に委ねられ、三陸鉄道の駅舎等の整備と車両購入、被災者の住宅再建支援、医学生修学基金の設置、サテライト校支援、J-Village再整備など、各県が独自に行う事業に充てられて被災地の復興に役立てられています。
海外からの義援金の受付及び配分への協力
日赤は平成23年3月14日に義援金の受付を開始しました。義援金は被災された方々に対するお見舞金です。義援金は日赤や中央共同募金会等の団体が受け付けて被災した都道県へ送金しています。主な寄付者は国内からですが、海外からの個人・法人から直接日赤に送金された寄付金(外国赤十字社経由を除く)も「義援金」として取り扱っています。日赤が受け付けた義援金の合計額は約3425億円(令和2年12月31日現在)ですが、その内、海外の寄付者から寄せられた義援金は225億円(約6.5%)です。義援金については日赤では手数料等は受け取らず、全額を被災地へ届けています。なお、同義援金の受付は令和3年3月31日で終了いたします。
2021年2月13日福島県沖を震源とする地震の発生 ~海外との絆は今も~
2021年2月13日、福島県沖を震源として、宮城県と福島県で最大震度6強、栃木県で最大震度5強の地震が発生しました。今回の地震により、200人近くの負傷者、3,000戸以上の住家被害(全壊21、半壊32を含む)、福島県相馬市内では土砂崩れが発生しました。日赤は、被災状況の情報収集を行う一方で、内閣府調査チームの一員として職員を福島県へ派遣しました。今回の地震は「平成23年(2011年)の東北地方太平洋沖地震」の余震と考えられています。東日本大震災発災から10年を前にして、今回の地震を報道で知った海外の赤十字関係者からは、すぐにお見舞いの連絡が届き、人々の無事を願う声が寄せられました。海外との絆は、あの震災から10年が経とうとしている今も、しっかりと結ばれています。
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